(2025改稿版)俺の妻は本当に可愛い~恋のリハビリから俺様社長に結婚を迫られています~
額にかかる艶やかな黒い髪と頬に影を落とす長く細いまつ毛、スッと通った鼻梁に薄い唇が小さな顔に完璧な配置で収まっている。

身に着けている濃紺のスーツは仕立てがよく、胸の上に置かれた手首にはハイブランドの腕時計があった。

起きているときはどんな雰囲気を纏って、どのような表情をしているのだろうとふと考えた。


「う……」


突如男性が発した、低く苦しそうな声にハッとする。

もしや具合が悪く、倒れ込んで気づかれずに施錠されてしまったのかもしれない。


救急車を呼ばなければ。


でも、この場合は警察を呼ぶべき? 


迷いながらも急いでバッグからスマートフォンを取り出して握りしめ、眉間に皺を寄せている男性に話しかける。


「大丈夫ですか? どこか痛みますか?」


尋ねた瞬間、腕が強引に引っ張られた。


「きゃっ……!」


ぐるりと目の前が反転し、背中に固いベンチが触れる。

バッグが手から離れ、スマートフォンが指から滑り落ちる。
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