(2025改稿版)俺の妻は本当に可愛い~恋のリハビリから俺様社長に結婚を迫られています~
ほとんどなにも知らない、出会って間もない大企業の御曹司。

振り回されてばかりなのに、憎めないし嫌じゃない。

最初に散々な姿をさらしたせいか、住む世界が違う人なのにそばにいるとなぜか余計な力が抜け、安心する。

これまでの私は何事も段取りを重視して、慎重に歩いてきた。

けれどその結果、好きな人に気持ちすら伝えられなかった。

愁さんはそんな私とは正反対。

そばにいたら少しは素直に感情を口にできる自分になれるだろうか。

出会ってからずっとざわめく感情の答えが見つかるだろうか。

今までと違う自分になりたい。

願いが迷う心を傾けていく。


「俺の婚約者になって」


甘い懇願に迷いが断ち切られ、無意識に首を縦に振る。

途端に花開くように彼が口元を綻ばせた。


「ありがとう、大事にする。これからよろしく」


骨張った指がそっと頬に触れる。


「よろしくお願い、します」


こうして、私は彼の婚約者としての一歩を踏み出した。
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