後悔しない、ひとつのこと
人っ子一人いない階段をのぼり、屋上のドアを開ける。

思いっきり伸びをして、深呼吸。

考えがまとまらなかったり、気持ちが落ち着かない時はいつもこうする。

小さい時にお母さんに教えてもらったこと。

気持ちを落ち着けて辺りを見渡すと、私が想像していた景色と少し違った。

「廉、?」

「爽...」

振り向いた廉の目には涙が浮かんでいて。

「ちょっと、どうしたの?」

廉に近づくと、私は顔を歪めてしまった。

瞳に溜まっているものはこぼさないように、廉に尋ねる。声も震えながら。

「顔の傷、どうしたの」

廉はゆっくり顔を上げ、私に尋ねる。

「なんで爽が泣くの?」
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