後悔しない、ひとつのこと
明人さんと廉は車で送ってくれた。

車を降りる前に明人さんは言ってくれた。

「前までは車も怖かったんだ。母さんを思い出すから」

「父さん....」

「でも今は、当たり前に乗れる。ありがとう、爽さん」

''ありがとう''

そう感謝の言葉を伝えてくれた。

その言葉が、嬉しかったんだ。

「俺も、泣くこと。笑うこと。自分の思いを伝えること。車に乗ることだって。今まで怖いと思っていたもの全部がもう怖くない。爽がいてくれるから。ありがとう」

そう微笑みながら言う廉は、今まで私が見ていた人とは別人だった。

これまで恐れていたことを''怖くない''

そう言えるようになったことが本当にすごくて、嬉しかった。

これからは、こんなことを経験せずに生きて欲しい。

私がそうする。

__そんなことを思っていた。
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