後悔しない、ひとつのこと

一体

廉たちに送ってもらって、家の中に入る。

いつもは暗いけど、時間が遅いからか明るかった。

リビングに入りながら言う。

「お母さんごめん。遅くなっちゃった。今日の夕飯は____ぇ?」

''今日の夕飯は何?''

それが最後まで言えなかった。

リビングには、血を流して倒れているお母さんと。

ゆっくり振り向く___知らない男だった。

「爽!お願い....にげ...て......」

床に倒れていたお母さんが、大きな声を出す。

驚いて固まる私にも聞こえるように。

お母さんはそれ以上何も言わなかった。

「......なん..で...」

「チッ、もう一人かよ」

男はゆっくりと近づいてくる。

お母さん。この人は誰?

一体どうして倒れているの?

違う、そうじゃない。

私は逃げなきゃ。

ごめん...お母さん

「おいっ、待て!」

私は駆け出した。

今までにないぐらいに速く。

けど、男の人にはすぐ距離を縮められて。

私は焦っていた。

嫌だ。私は死にたくない。まだ生きていたい。

もっと生きて、お母さんと...もっと話したい。

瑞希と優菜も。会いたい。

廉ともたくさん話して。

感情を分け合って。明人さんと話してるところももっとみたい。

また、廉と映画を観たい。

クリスマスも遊びたい。

あぁ、私相当廉が好きだ。

この気持ちも、伝えたい。

やり残したこと。私の後悔が出てくる中、ただ走っていた。

生きることだけを考えて。

____だから周りが見えてなかった。

私が走っているのは横断歩道で、

赤信号だった__

いつもなら車通りがないのに、この時はなぜか車が通っていて。

廉、ごめん。約束__

私は、終わるのかな。

終わりたくないよ。

''思った時に思ったことを伝えること''

私にも足りていなかった。

廉、どうか幸せに生きて



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