【完結】売られた令嬢は最後の夜にヤリ逃げしました〜平和に子育てしていると、迎えに来たのは激重王子様でした〜
『──何かあったらすぐわたくしに報告してちょうだい! とにかく、アデラールはあなたのことがすっっっっごく大切なのっ!』
『少しでも嫌なことや怖いことがあったらワシらに相談してくれっ! 出ていこうだなんて思わないでほしい! お願いっ、本当にお願いっ!』
二人の血走った目と懇願を見て、本気だと理解する。
彼がシルヴィーの悲しむ顔を見たら何をしだすかわからないため未然に防ぎたいのだという。
もちろんアデラールにやりすぎがあったら止めるとのことだ。
次第に涙目になっていく二人にもいろいろな苦労があるのだろう。
ここまで頼み込まれてしまえば、シルヴィーは頷くしかないのだが。
(どうしてアデラール殿下はわたしに執着するのかしら……)
妊娠がわかる前からシルヴィーに護衛をつけていたという事実。
つまりホレスがいてもいなくても、時期がきたらシルヴィーを迎えに来るつもりだったということだろう。
(十三年前、わたしはアデラール殿下に何か言ってしまったとか……?)
思い出そうとしても、その辺りの記憶が曖昧だ。
アデラールが王太子だったことにも気づいていなかったため、気を引くようなことを言ったつもりもない。
むしろアデラールの服や刺繍の豪華さに釘付けだった記憶しかなかった。
(……何をしてしまったかわからない自分が恐ろしいわ)
引き攣っていくシルヴィーの顔を見て二人も慌てている。