【完結】売られた令嬢は最後の夜にヤリ逃げしました〜平和に子育てしていると、迎えに来たのは激重王子様でした〜
シルヴィーは瞼をそっと閉じた。
レンログ子爵がこうして無関心を貫こうとするのなら、そうしようと思っていた。
だが、こちらに攻撃してくるのなら話は別だ。

やはりこうなってしまうのか、そう思うと今までやられてきたことの怒りよりも憐れみの方が勝る。
騎士たちがミリアムたちを取り囲むようにして静かに動き出す。
これも予定通りだ。

暗い表情を見てか、ホレスが不安げにシルヴィーの手を握る。
大丈夫だと安心させるように手を握り返した。
アデラールから笑みは消えて、じっとミリアムたちを睨みつけている。

(そういえば……今まで元レンログ伯爵家で働いていた者たちをアデラール殿下は集めてくれたのよね)

彼らと再会できて近況を聞けたのは本当によかった。
皆、シルヴィーが追放されてからすぐに屋敷を出たそうだ。

シルヴィーの望みとあらば、アデラールはなんだってしてしまう。
さすがにこの場でシルヴィーやホレスの姿を見たら、証拠もなしにこちらを責めることはないはずだ。
正直、彼女たちが何をしようとしているのかまではわからない。
ミリアムの言葉を待っていると……。


「アデラール殿下、あなたはその女に騙されていますわ!」

「……なっ、ミリアムッ!? おまえもどうしてここにっ」


レンログ子爵は驚きに声を上げる。
ミリアムの発言にシルヴィーは言葉を失っていた。
ここまで根拠のない理由でシルヴィーを引きずり下ろそうとしているのだろうか。

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