【完結】売られた令嬢は最後の夜にヤリ逃げしました〜平和に子育てしていると、迎えに来たのは激重王子様でした〜
(最悪だわ。本当に…………あんなのが父親だなんて思いたくない)

結局、ラディング侯爵は縄で繋がれていたので、シルヴィーと関係を持っていないはずだ。
それにシルヴィーが逃れたことにより、ラディング侯爵から金を受け取れないというのも最高の復讐になった。
無理やりそう考えて気持ちを落ち着かせる。

なんとかレンログ伯爵家を成り立たせていた執事とシルヴィーがいなくなり、屋敷で働く人たちも辞めていく。
領民からの信頼もないとなれば、落ちぶれていくのも時間の問題だろう。
今まで我慢していた分、彼らが困惑する様を近くで見られないのは残念だが、シルヴィーはやっと解放されたのだ。

(……なんだか気持ちがスッキリしてる。どうしてだろう)

シルヴィーは胸をそっと押さえた。
すると何故か青年の優しい笑みや涙を拭ってくれたことを思い出す。
自然とあふれてくる涙を腕で乱暴に拭う。

シルヴィーの思い描いていた理想の夜会とは程遠い。
最高の思い出になるはずが、最悪な日になってしまった。
しかしこの一件で家族への情も、貴族社会への未練も、素敵な男性と恋することへの期待も一気に断ち切れたような気がしていた。

(もうシルヴィーはいない。わたしはシルヴィアとして生まれ変わるんだから……! 今日のことは忘れましょう)

シルヴィーは瞼を閉じて、疲れた体を癒すためにベッドに寄りかかった。

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