Reunion love.
「…もし好きだって気持ちが少しでもあるなら、私が変わるのを手伝って」

「は…?何言って…」

「もう私は、太一くん以外に無理だよ。だって、10年以上も引き摺ったんだから」

「だからって…、変わるって…」

「もう太一くんのご機嫌なんて窺わないし、こうしたら嫌われるかもなんて思わない。ちゃんと私らしくいて恋をするには、太一くんが見ていてくれないと無理なの」


 私の言葉に太一くんは呆気に取られている。自分でも滅茶苦茶な事を言っている自覚はある。

 でも太一くんのそんな言葉を聞いたらここで引けない。


「まじで何言ってんの?別の人探せよ」

「とか言って別の人の物になったら寂しいでしょ。嫌でしょ?」


 私の言葉に口を噤んでいる太一くん。すぐに否定しないと言う事は、肯定の意味が多少あるのだと思う。

 元々私はごめんねってすぐに謝る様な、か弱い女じゃなかったのに、いつからこんな風になってしまっていたのか。

 何も返事しない太一くんのシャツの襟をグッと引っ張って顔を近付けさせると背伸びをして強引に唇を重ねる。

 私が目を瞑る直前、驚いている太一くんの顔が見えたけど、そんなの気にしない。

 すぐに離れてまた至近距離で見つめ合う。


「…私がこんなに恋愛に臆病になったのも、他の誰かに恋が出来なくなったのも、太一くんのせいなんだから、責任取って」


 きっとこんな言葉にはアルコールの勢いも含まれていて、きっと明日には何であんなこと言ったんだろうって後悔する。

 でも、ここで賭けないともう絶対にこんなチャンスはめぐって来ない。
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