嘘と欲求
5
伊織に疑われてから数日の間は、観察と尾行を控えていた。と言えば聞こえはいいだろうが、実際は必死に自制していた。目で追い後を追うのがいつしか癖になっていたために、無意識にしてしまうそれらの行動をとにかく我慢していたのだ。
控えようと決意すること。それ自体は容易かった。やめようと思えばやめられると呑気に構えていたからだ。しかし今は、癖になってしまった行動をやめることの難しさを痛感している。
我慢するのはストレスだった。SNSのいいね数が、シャーペンの投稿以外変わらずゼロのままなのもストレスだった。画像を載せれば反応を得られやすいと学んだのに、未だ活かせずに停滞している現状もストレスだった。
この我慢がいつまで持つか分からない。もう持たないかもしれない。もっと伊織を知りたくて、親友にしている伊織を知りたくて、伊織本人や伊織に関連する何かを写真に収めたくて、まとまったいいねが欲しくて、たまらない。
もう夏休みに入ってしまう時期だ。長期休暇を挟んでしまうといずれ自棄を起こしてしまうかもしれない。道を踏み外してしまう前に、伊織の情報を、いいねが貰えるとっておきの情報を、一つでも多く蓄えておかなければ。安心できない。夏休みの間に親友に関する事柄を一つも投稿できないなど、そんなことがあっていいわけがないのだから。
結局、我慢は一週間も持たなかった。伊織には一度勘付かれてしまった。ならばもう後をつけるもつけないも一緒なのではないか。どちらを選んでも警戒されているのだとしたら、行動を抑えずに伊織を追いかけ情報を収集し、機会があれば写真を撮った方が絶対に良い。半ば開き直り、我慢をやめた翔真は意気込んだ。忍耐力がなかった。
「次、体育なんだけど。怠すぎる」
「こんな暑い中やってらんないよね」
「体育嫌いだわ。着替えるのも面倒いし」
「激しく同意」
控えようと決意すること。それ自体は容易かった。やめようと思えばやめられると呑気に構えていたからだ。しかし今は、癖になってしまった行動をやめることの難しさを痛感している。
我慢するのはストレスだった。SNSのいいね数が、シャーペンの投稿以外変わらずゼロのままなのもストレスだった。画像を載せれば反応を得られやすいと学んだのに、未だ活かせずに停滞している現状もストレスだった。
この我慢がいつまで持つか分からない。もう持たないかもしれない。もっと伊織を知りたくて、親友にしている伊織を知りたくて、伊織本人や伊織に関連する何かを写真に収めたくて、まとまったいいねが欲しくて、たまらない。
もう夏休みに入ってしまう時期だ。長期休暇を挟んでしまうといずれ自棄を起こしてしまうかもしれない。道を踏み外してしまう前に、伊織の情報を、いいねが貰えるとっておきの情報を、一つでも多く蓄えておかなければ。安心できない。夏休みの間に親友に関する事柄を一つも投稿できないなど、そんなことがあっていいわけがないのだから。
結局、我慢は一週間も持たなかった。伊織には一度勘付かれてしまった。ならばもう後をつけるもつけないも一緒なのではないか。どちらを選んでも警戒されているのだとしたら、行動を抑えずに伊織を追いかけ情報を収集し、機会があれば写真を撮った方が絶対に良い。半ば開き直り、我慢をやめた翔真は意気込んだ。忍耐力がなかった。
「次、体育なんだけど。怠すぎる」
「こんな暑い中やってらんないよね」
「体育嫌いだわ。着替えるのも面倒いし」
「激しく同意」