人魚のティアドロップ
それから二年経った。海斗は保育園から小学校へ進学し、私たち家族は特に衝突などなく平和に暮らしていた。
そんな中、智花が訪れてきた。
ちょうど仕事が休みで、海斗は学校、翔琉は仕事中。私は家で一人智花を招き入れた。
――――
――
「ええ!私の住所、沙羅先輩に教えたの智花だったの!?」
一体どう調べたのか謎だったが意外過ぎる事実に開いた口が塞がらない。
「だって翔琉と結婚したって言うし、海斗もいるでしょ?あんたが幸せな姿見たらあのマウント女、絶対意識して結婚式失敗するだろうと思って」智花は意地悪く笑う。
まぁ……かなり動揺はしてたし、その後の披露宴も何となくぎこちない雰囲気だったし智花のもくろみは成功したって言うのか?
しかもその後の沙羅先輩の話には大きなおまけがついていた。
「あの女、結婚して一年で不倫して、多額の慰謝料請求されてるらしいよ。実家にも勘当されて噂に聞くとパパ活?みたいなものまでして今は借金返してるって。いいザマ」
結婚して一年で不倫!?…まぁあの人が一人の男性で満足するわけないか。
いつか言った。『その代償は必ず自分の身に降りかかってくる』と。私の言葉の意味、ようやく分かりました?先輩。
あなたがしてきた数々の仕業は必ず帰って来るんですよ。
智花の方も順調で高校から付き合っていたたかし先輩と来年結婚するという。今は都心で同棲状態だが、ちょっと気の強い智花に先輩が尻に敷かれている様子が何となく想像できてちょっと笑えてきた。
「ところで海李先輩とは?結局あれきり?」
私は沙羅先輩の結婚式で海李先輩に会ったことを随分前に智花に聞かせていた。
「うん……数か月前、一度だけメッセージが届いた」
私は届いたメッセージを智花に見せた。
”美海へ
幸せに過ごしてるか?海斗は元気か?
俺はガソリンスタンドから転職して今は沖縄で児童保護施設で働いている。毎日大変だけれど充実した日々を送っている。
俺、今幸せだわ。
だから美海も一生幸せでいろよ”
写真も送られていた。それは青い海をバッグにたくさんの子供たちに囲まれこちらに笑顔を向けている先輩の姿だった。
「子供、嫌いだって言ったのに…あれは嘘じゃないの」思わず笑うと
「先輩、楽しそうだね」と智花も笑った。
うん、本当に―――
先輩が幸せそうで―――良かった。
先輩、出会えて良かった。出逢って、恋をして、守ってもらって、別れて―――
でもあなたは大切な宝物を授けてくれました。それはティアドロップ型のネックレスと同じぐらい……ううん、それ以上。
海斗。
私の大切な大切な宝物。
私と先輩の人魚姫のストーリーは違った形で終わったけれど、泡になって消えてしまうよりうんとステキな物語になりました。
ありがとう。
私は私の物語をこれからも描き続けていきます。
~FIN~


