至上最幸の恋
「エリサちゃんの心は、エリサちゃんのものだ。そこに誰かが勝手に踏み込むことなんてできない。好きでいたらいけないなんてことは、絶対にないよ」
「そう……でしょうか」
「そうだよ。自分の気持ちくらい、自分でちゃんと受け止めてあげなきゃ」

 いつもは物腰柔らかな磯崎さんが、とても厳しい口調になっている。
 私の弱い心を叱咤してくださっているみたい。強い言葉なのに、その奥にある優しさが伝わってきて、胸がじんとした。

「もちろん、行動に移してしまえば、その気持ちはエリサちゃんだけのものではなくなる。でも君は、踏み越えちゃいけない線を分かっている。今日だって、適度な距離を保って浅尾さんたちに接していただろう?」

 こうして言葉にされると、磯崎さんがちゃんと見ていてくださったのだと分かる。

 奥さまに失礼のないように。そして、間違っても瑛士さんとの関係を疑われないように。今日は、そのことばかり気にしていた。

 祝賀会を欠席するという選択肢も、もちろんあった。けれどやっぱり、瑛士さんの受賞をお祝いしたかったの。

 数か月ぶりに瑛士さんのお顔を拝見して、飛び上がりたくなるほど嬉しかった。だけど奥さまの……律さんのお姿が目に入って、胸をえぐられるような痛みが走った。
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