至上最幸の恋
「早く展示を観に行きたいな。エリサちゃんを描いた絵なんだよね?」
「はい」

 頷きながら、胸の奥がかすかにざわついた。
 瑛士さんは、どのような絵をお描きになったのかしら。大好きな人の瞳に、自分がどう写っているのか……それを知るのが、少し怖い。

「エリサちゃんも、観に行くんだよね?」
「ええ。黒瀬さんが時間を調整してくださると思います」
「展示を観に行く時間くらい、黒瀬くんなら調整できそうだけどね。移動時間にも、ずいぶん余裕を持たせてるみたいだし」
「ふふ、そうですね」

 黒瀬さんが私の専属マネージャーになって、数か月。最初のころよりずいぶん改善されたけれど、いまでも移動時間にはかなり余裕を持たせている。遅刻しないのはありがたいけれど、もう少し調整していただけたら、瑛士さんの絵を観に行けるのに……なんて思ってしまうわ。

 ただ、黒瀬さんはいつも、私の負担が少なくなるように考えてくださっている。余計なことを言わず、お任せしておくのがいいわね。

 そんな話をしているうちに、車は青葉台の自宅へ着いた。

「わざわざ送ってくださって、本当にありがとうございました」
「時間がかかっちゃって、ごめんね。今日は朝も早かったし、疲れただろう?」

 磯崎さんも、お疲れのはずなのに。どこまでもさりげなく、お気遣いくださる方なのね。
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