至上最幸の恋
 子どもの浅知恵よね。だけどモデルになって表現力を磨いたら、瑛士さんにとって魅力的な女性になれるかもしれない。そう思っていたの。

 最初はそんな不純な動機だった。それでもいまは、このお仕事が本当に楽しい。ピアノもモデルも、どちらも大切で大好きなの。

 こんな幸せを感じられるのは、瑛士さんのおかげ。この道で精一杯頑張ることが、恩返しになると信じている。

「きっと届くよ。瑛士君にも」

 周りに聞こえないよう、少し顔を寄せて磯崎さんが言う。

 にじみそうになる涙を堪えて小さく頷くと、磯崎さんはまたシャッターを切った。

 ファインダー越しに、私の心までじっと見つめてくださる。その眼差しは、とても温かい。飾らない、そのままの私を包み込んでくださる。

「風が出てきたね。寒くない?」
「はい、大丈夫ですわ」
「少し休憩を入れようか」

 磯崎さんは、こういう気遣いも欠かさない。特にロケのときは、日差しや寒さに配慮して、適度に休憩を入れる。

 それは私のためだけではなくて、みなさんのためでもあるのよね。

「恋人同士みたいね」
「本当に。いつ見てもお似合いだわ」

 少し離れたところで、スタッフさんたちが声を潜めて話しているのが聞こえた。
 恋人同士だなんて。磯崎さんに申し訳ないわ。もっとお似合いの方がいるはずだもの。
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