至上最幸の恋
 磯崎さんにも聞こえていたはずだけど、特に気にした様子もなく、淡々とフィルムを交換している。きっと、こういうことにも慣れていらっしゃるのね。

「エリサさん、どうぞ」
「ありがとうございます」

 黒瀬さんが、飲み物と上着を持ってきてくださった。少し冷えた体に、温かいお茶が染み込んでいく。

「順調ですね」
「はい、磯崎さんのおかげです」
「本当に、おふたりは相性がいいですね」
「そうですね。とてもお仕事がしやすいです」
「それだけですか?」

 言葉の意味が分からず、思わず目を瞬かせる。それだけって……お仕事での相性、という意味ではないの?

「磯崎さんは、とても誠実で、信頼できますよね」

 黒瀬さんが、スタッフの方へ指示を出している磯崎さんに目を向ける。

「エリサさんのお相手に相応しい方だと、僕は思います」
「あの、どういう……」
「エリサちゃん、少しメイクを直すわね」

 メイク担当の夕子さんがいらしたので、黒瀬さんはなにも言わずに少し後ろへ下がった。

 お相手に相応しい? それって、お仕事ではなくプライベートでの……ということ?

 どうしてみなさん、磯崎さんと私をそういうふうに見るのかしら。

 磯崎さんは、誰に対しても誠実で、心に余裕のある大人の方だもの。そんな方のお相手に私が相応しいなんて、少しも思えない。
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