至上最幸の恋
 バッグの中には、瑛士さんと律さんへのお土産も入れていた。
 私から連絡をとるのは、なんとなく気が引けてしまうし……慧さんに預かっていただこうかしら。

「あの、実は瑛士さんと律さんにもお土産をお持ちしているんですけど、慧さんからお渡しいただくことはできますか?」

 すると、なぜか慧さんの表情が強張った。

「あぁ、えっと……瑛士には渡せるけど、律さんは難しいかも」
「でも、瑛士さんにお渡しすれば、律さんにも」
「……そっか。貴也君、エリサちゃんに話していなかったのか」

 貴也君って、磯崎さんのことよね。どうしてここで、磯崎さんのお名前が出てくるのかしら。
 事情が呑み込めず困惑していると、慧さんは食器を洗う手を止め、悲しそうに微笑んだ。

「離婚したんだよ。瑛士と律さんは」
「え……」

 つい、言葉を失ってしまった。
 離婚って、どうして? 少なくとも私の前では、おふたりとも穏やかに見えたのに。

 もしかして、以前律さんと一緒に歩いていた男性は……ううん、そんなこと、勝手に想像してはいけないわ。
 ご夫婦のことは、他人には分からない。きっといろいろな想いやご事情があるはずだもの。

「貴也君がウィーンへ行く前に店へ来たんだけど、そのとき、ちょうど瑛士もいてさ。そこで離婚のことを話していたんだよ。てっきり、貴也君からエリサちゃんに伝わると思っていたんだけど」

 そういえば磯崎さんは、ずるいことをしたと仰っていた。それって、このことだったのね。
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