始まりは一夜の出会いから
 居酒屋を出て街中から外れて歩いていた時、私達の間に会話は無かった。

 その間ずっと隣を歩き続けるだけで、今はきっと新くんの家に向かっているのだけど、何だか落ち着かなくて、こんな気持ちは初めてだった。

 考え事をしながら歩いていると、隣で歩いていた新くんの手が当たって、驚いてパッと距離を離してしまったのだけど、その手を再度もう一度引き寄せてぎゅって繋いでくれた。


「有咲さん」

「…何?」

「別れませんから俺」

「え」

「転勤して遠距離になっても、しなくて有咲さんが俺を嫌になって別れたいって言っても、何があっても別れません。俺にとって、ずっと追い続けた初恋の人、なので」


 その言葉に少し驚いて新くんの方を見ると新くんもこっちを見ていた。

 初恋の人って…、私たちが大学生の時のことをいっているのだろうか。その時が初恋…?

 理解しようとしている間にも新くんの家に到着する。

 一緒に部屋の中に入って、リビングまで通されると温かいお茶を出されて2人でソファーに座って話した。


「初恋は、大学生の時だったの?てか、何で私?」

「俺の初恋は高校生の時、です」

「…高校生?」


 私と新くんは高校同じではない。
 それに当然会ったこともない。

 それなのにどうして新くんが私に初恋なんてするのだろうか。
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