始まりは一夜の出会いから
 部屋の中に入ると部屋も綺麗で広く、おしゃれなインテリアが置かれていた。

 いや、置かれている物自体は普通なのだけど、カーペットやソファーやカーテンも落ち着いた雰囲気でこだわって置かれているという感じだ。

 1人で住むには広すぎるし、何もかもが大きすぎるんじゃないのかと感じる。


「広いね…?」

「いずれ有咲が引っ越して来たら、とか妄想しながら選んだらこうなってた」

「妄想?」

「そう、妄想」


 否定はする気無いらしく、今の状況で凄く有難いのだけど、なんだか複雑な気持ちも多少はある。

 新くんに促されるまま大きめのふかふかなソファーに腰を下ろすと新くんがジャケットを脱いでネクタイをシュルッと手際よく外している。この姿、久々に見たけど色気満載でたまらない。

 久し振りに会って、私も変態的な目線で見てしまった。


「まさか有咲がこんなサプライズしてくれるなんて、どうしたの?」


 そう言いながら私の隣に座って、微笑みかけてくる。

 きっと驚くよね。家も解約して仕事もやめてきた。荷物はもう送ってあって明日届くなんて言ったら。

 今のこの瞬間が一番緊張している気がする。

 どういうのが正解か悩んだ結果、私はきっと一番はずれのパターンを引いた。


「お、お嫁に来ちゃった」


 てへっ、みたいなお茶目のキャラをしてみたけど新くんは目を真ん丸にして驚いている。

 子供みたいなあどけない表情。

 ああ、もう誰か私を埋めて。
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