始まりは一夜の出会いから
「ていうか、聖さんも驚いてたって事は、花澤さんとかにも言わずに来た?」

「うん、誰にも言ってない」


 さっきまで驚きで固まっていた表情がふっと和らいで「もう〜」と言いながら笑っている。

 その表情で迷惑だとは思っていない様でこちらも安心する


「ずっと会いたかったから幻覚見たのかなと思った」


 存在を確かめるように髪や、頬など至る部分に優しく大事そうに触れてくる。私もずっと触れてほしかったし、触れたかった。

 ビデオ通話とかで姿を見て声を聞けても全く触れられなくて、ずっと苦しくて辛かった。

 新くんの手を掴み、そのまま頬に触れさせる。


「ちゃんといるよ、ここに」

「来てくれたって事は、有咲的に決心ついたって事?」


 決心というのは、きっとあの日駅のホームで話したこと。


─────向こうで一緒に住むってなったら、その時は俺と結婚して。有咲。


 あの時のことを思い出すと今でも顔が熱くなる。

 結婚願望無いって言ってた新くんが真剣に考えてくれたって思うと、すごく嬉しかった。

 その問い掛けに頷いて返すだけなのが必死で、何度も頷くと新くんが嬉しそうに笑って、強い力で抱きしめてくれる。


「…絶対幸せにするから」

「2人で、幸せになろうね」


 嬉しそうな君の笑顔にまた何度でも好きになる。
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