始まりは一夜の出会いから
「へぇ、何か意外。子供好きそうなのにね」

「…うん」


 家庭環境とかを伏せて美月とのランチで子供の事を軽く相談した。

 新くんの言い分が全く分からなくはない。

 自分の経験した環境で、子供にももしも同じ目に合わせてしまったらと怖いのだろう。

 新くんは義母からの愛情を受けられず、ましてや義父からも扱いも酷かったそうだから、それで弟さんの事を避けてしまった過去もあって、余計に自信が無いのかもしれない。

 だけど私は、あんなに私に優しく愛情を向けてくれるのを知っているから、もし子供が出来ても同じように愛してくれるのではないかと、根拠もなく新くんの事を信じていた。

 実際に一緒に居て新くんは、愛情深い人で他人にも優しさをどこまでも向けられる人だから。

 そもそも西宮さんは仕事を優先する人だったかもしれないけど、新くんへの愛情は確かなものを感じたし、環境だけじゃなくて近くにそう言う人が居てくれたも大きな経験だと思うから、新くんが子供に冷たくするとも言い切れないし、思えない。


「有咲、元々子供とか欲しかったんだっけ?」

「…結婚の時もそうだったんだけど、私自分で思っていた以上に欲張りだったのかも」

「欲張り?」

「うん。交際したらすぐ結婚したくなったし、結婚したら今度はすぐに子供が欲しいって思っちゃった」


 軽く溜息を吐いてアイスカフェラテに口を付けると、美月は笑っていた。

 確かに1人だった時は子供もいらない、というか出来ないと思っていたのもあって、諦めていたのだけど今は新くんと一緒だから諦めたくないと思ってしまった。


「欲張りなの悪い事じゃないでしょ。ていうか、あの人も出来ちゃったら絶対可愛がりそうだし、今頑固モード入っちゃってんだよ、きっと」

「分かる!意外と頑固だよね!」

「でも、何だかんだ有咲のお願いには弱いからちゃんと話し合ってくれると思うよ」


 美月の言葉に少し軽くなった。

 これ以上話して嫌われても困るし、前の結婚の話の時の様に突き放されても困るなんて思っていたのに、美月は凄い。

 おかげで、ちゃんと話してみようと思えた。
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