始まりは一夜の出会いから
 振り返って声の本人の顔を見て、私は目を見開いた。


「…仁?」


 秋山《あきやま》 仁《じん》。
 私の元彼だった人。
 この男が、私が次の恋に進めない原因の男。


「えー、久々じゃん。こっちにいたんだ 」


 平然と話しかけてきては、私の隣に座る。

 美月も何かを察したのか、顔が険しくなる。

 どうしてそんなん普通に話し掛けて来られるのか私には理解が及ばない。


「急に連絡取れなくなったぶり?元気してた?」


 この人、あの日の浮気に私が気付いていた事、知らないの?知らないなんて、そんなことある?

 言ってやりたい事は山程あるのに何も言葉が出て来なくて、元カレの方は見れずそのまま視線を落とすだけだった。

 そんな私を庇う様に美月は仁を睨みつける。


「ちょっと、離れてください。有咲嫌がってるでしょ」

「え?元カノに声掛けてるだけなんですけど」


 美月と仁の言い合い。声も聞きたくないと言ってやりたいのに、何も言葉出てこない。
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