始まりは一夜の出会いから
 一緒に外に出て、まずは近くのカフェで朝ごはんを食べに来た。

 2人で向かい合って新くんは私の方を見てご機嫌そうな様子だった。

 ずっと向かいでニコニコとされているから、気まずくてアイスカフェオレが入ったグラスを手に持ちストローに口付けて、口内へと軽く吸い込む。


「…あの、新くん。そこまでニコニコされるとやりにくいです」

「浮かれさせてくださいよ。ずっと片思いしていた人とようやく結ばれたんですもん」

「でも恥ずかしいです」

「そんな所が可愛いです」


 何でこの人は好きとか可愛いとか簡単に言えてしまうのか。

 私は恥ずかしくて何かきっかけがないと言えないのに、新くんはすぐに口にしてくれる。嬉しいけれど言われる方も意外と恥ずかしいのだということを知った。


「有咲さん、明日お休みですよね?今日も泊まっていきます?」

「交際してまだ2日目ですよ…。いろいろ進みが早いですし、お泊まりセットも無いです」

「部屋着は俺のを着ればいいし、足りないのは買えばいいんです。それにもう2人共大人じゃないですか。離れたくないんですけど、ダメです?」


 そんな甘える様に言われたら断れない。確かにもう一夜を過ごしてしまえば段取りも何も無いのかもしれないけど、大人だし普通なの?と考えるも経験が無いから何が普通かの区別など付くはずもない。


「ダメ、じゃないです」

「そう、良かった。じゃあ今晩も一緒ですね」


 そう言って私の手を取られてそのまま握られる。

 付き合う前から少し強引で、でもその強引さが嫌じゃなくてときめいてしまう。
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