始まりは一夜の出会いから
 更に1か月後のある金曜日だった。


「有咲ー…?生きてる?」

「…うん」


 こうなった要因は新くんの出張だった。先月突然1か月程出張に行ってくると聞かされてそれから全く会えていない。軽い遠距離恋愛を味わっている気分だ。

 電話で時々声は聞けているけど全く会えないし、電話も出来てもすぐに切ってしまう。寂しくて仕方ない。


「そろそろ帰ってくるんでしょ?」

「うん。本社での仕事楽しいみたい。支社とは全く違うけど勉強になるってわくわくしながら言ってた」

「佐々木さんそんな仕事モチベ高い人だったんだ。知らなかった」


 確かに、少し前まではなんとなく福利厚生とかちゃんとしてて休みもボーナスもあって、給与が多い所を選んだだけだなんて言っていたけど、実は無自覚に営業職好きなんじゃないかと思う。

 時々家でも私が寝た後、起きて仕事しているのも見た事がある。努力している姿が格好良いのにその姿を人に見せようとしない。

 新くんはそういうの見られるの嫌みたいだから、私も直接言わないけれど仕事している真剣な表情も好きだ。
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