始まりは一夜の出会いから
「シャワー…?」

「うん、だからあの、離してもらえるとありがたいんだけど」


 ずっと手首を掴まれていてその手を振り払うのも何となく出来なくて声を掛けると、私の顔をぼーっとした表情で見て「一緒に入る?」なんて声を掛けてきた。

 どうして寝惚けていてもこの甘さ…、恐ろしい男だ…!

 首を横に振ると今度はふわっと抱きしめてきて甘える様に凭れ掛かってきている。


「じゃあここに居て。離れるのやだ…」


 普段敬語の男がため口になるとこんなに破壊力を増すのか。声も甘くて溶けそう。思わぬ可愛さでキュウッと胸を締め付けられた。

 新くんの頭を撫でると、そのまま撫でさせてくれる。


「…だめ、お風呂は1人で入る。少しだけ待ってて」


 そう説得する様に言うと新くんが少し顔を上げて、不服そうな顔をしたけど「髪は俺乾かすので、任せてくださいね」なんて言って柔らかく笑っている。そんな姿が何度も言うけど、愛おしいのだ。

 この人の笑顔が優しくて、ずっと見ていたい。
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