始まりは一夜の出会いから
 そのままぎゅっと包み込むように握って、安心させる様に微笑みかける。

 私の決意はずっと固まっていたのに、新くんに伝えないまま不安な気持ちにさせてしまっていた。本当に申し訳ない気持ちでいっぱいになる。


「…本当に?別れるなら今ですよ?」

「気になる事は沢山あるけど、それでも話したい時に話してくれたらいい。私は、新くんと何があっても一緒が良い」


 驚いた表情をした後、少しだけ泣きそうな表情をしながらも笑みを見せて私の身体をグッと引き寄せて抱きしめる。

 今の表情で再度認識した。

 新くんも私の為に本当に言ってくれていただけで、本気で別れたくないって思っていてくれたのだと。

 だから今日の連絡も出ずにどうしたらいいかずっと1人で悩んでいたんだなって。結婚の事、ずっと浮かばなかったわけでもないけど、それを差し置いてでも私を欲しいって思っていてくれた事は伝わったよ。本当に、ずるい人で困っちゃうけど。


「大好きです。前から、ずっとずっと」

「…私も大好き」


 こういう言葉だけはいつだって惜しまずにくれるから、だから私は貴方の近くに居ても何の不安も無い。

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