【番外編更新】虐げられた私の身代わり婚約、そして見つけた幸せ
その後、公爵様は公爵家一の研究者を呼び寄せた。
クマの人形にかかっている魔法の確認と、私の宝石に何かしらの仕掛けが残っていないか、という事を確認するためだ。
公爵様は私が妹のブレンダではなく、姉のエスペランサである事はすぐに分かってくれた。
理由は先程の件もあるけれど、この黒髪である。王国では真っ黒な髪は不吉な証であり、ブロンドに近いほど正当な血筋を示していると言われていた。一方で、嫁いで来た母は黒髪だった。帝国では黒髪は王族に近い女性の中で現れる事が多いらしい。
一度、元婚約者が私に『お前が黒髪であれば、すぐに殺されていたのにな』と鼻で笑いながら言った事がある。
きっと母が私を助けてくれたのだろう。根拠はないけれど、なんとなくそんな気持ちが湧き上がった。
しばらくすると、細目で片眼鏡をかけた男性が現れた。
「珍しいですねぇ、こちらに私を呼び寄せるなんて」
「ああ、来たか。セヴァル」
男性はセヴァルと言い、公爵家の魔導師団に勤めているのだそう。何よりも魔法や魔術の研究が大好きで、寝食忘れるほどに熱中する研究者なのだとか。皺だらけの白衣の袖には、インクのシミらしきものが沢山ついている。
彼は何を考えているのか分からない笑みをたたえながら、軽い調子で話し始めた。
「私を呼び寄せるという事は、よほど、何か面白い魔法でも見つかったとみえますねぇ」
暗に、『研究が良い所だったのに、何故呼び寄せた?』という恨み言が聞こえるような気がするけれど、公爵様はそんな事など気にしていないかのように、笑って告げた。
「ああ、セヴァルも興味深いだろうよ」
「私の研究の手を止めたからには、それ相応の事であって欲しいですなぁ……おや?」
彼は私の前に置かれているクマと割れた宝石を見つけると、目にも留まらぬ速さで、そのふたつへと近づいた。
「おやおや、もしかして……これの事でしたかねぇ? 確かにこれは興味深い……」
セヴァルはクマの人形をじーっと見つめた後、隣の宝石を確認する。そして最後に私へと視線を送った。
「なるほどなるほど。このクマの人形には、『声封じの魔法』『名封じの魔法』が掛けられておりますねぇ。この形式から見て、デヴァイン王国の禁術――いわゆる呪いと言われる類でしょう……とても興味深い!」
「見ただけでそこまで分かるのか」
「ええ。王国にいる間者から、あちらの魔法書を戴きましたのでねぇ。我々とは少々違う魔法の紡ぎ方ですから、一目見れば分かりますよ」
クマの人形にかかっている魔法の確認と、私の宝石に何かしらの仕掛けが残っていないか、という事を確認するためだ。
公爵様は私が妹のブレンダではなく、姉のエスペランサである事はすぐに分かってくれた。
理由は先程の件もあるけれど、この黒髪である。王国では真っ黒な髪は不吉な証であり、ブロンドに近いほど正当な血筋を示していると言われていた。一方で、嫁いで来た母は黒髪だった。帝国では黒髪は王族に近い女性の中で現れる事が多いらしい。
一度、元婚約者が私に『お前が黒髪であれば、すぐに殺されていたのにな』と鼻で笑いながら言った事がある。
きっと母が私を助けてくれたのだろう。根拠はないけれど、なんとなくそんな気持ちが湧き上がった。
しばらくすると、細目で片眼鏡をかけた男性が現れた。
「珍しいですねぇ、こちらに私を呼び寄せるなんて」
「ああ、来たか。セヴァル」
男性はセヴァルと言い、公爵家の魔導師団に勤めているのだそう。何よりも魔法や魔術の研究が大好きで、寝食忘れるほどに熱中する研究者なのだとか。皺だらけの白衣の袖には、インクのシミらしきものが沢山ついている。
彼は何を考えているのか分からない笑みをたたえながら、軽い調子で話し始めた。
「私を呼び寄せるという事は、よほど、何か面白い魔法でも見つかったとみえますねぇ」
暗に、『研究が良い所だったのに、何故呼び寄せた?』という恨み言が聞こえるような気がするけれど、公爵様はそんな事など気にしていないかのように、笑って告げた。
「ああ、セヴァルも興味深いだろうよ」
「私の研究の手を止めたからには、それ相応の事であって欲しいですなぁ……おや?」
彼は私の前に置かれているクマと割れた宝石を見つけると、目にも留まらぬ速さで、そのふたつへと近づいた。
「おやおや、もしかして……これの事でしたかねぇ? 確かにこれは興味深い……」
セヴァルはクマの人形をじーっと見つめた後、隣の宝石を確認する。そして最後に私へと視線を送った。
「なるほどなるほど。このクマの人形には、『声封じの魔法』『名封じの魔法』が掛けられておりますねぇ。この形式から見て、デヴァイン王国の禁術――いわゆる呪いと言われる類でしょう……とても興味深い!」
「見ただけでそこまで分かるのか」
「ええ。王国にいる間者から、あちらの魔法書を戴きましたのでねぇ。我々とは少々違う魔法の紡ぎ方ですから、一目見れば分かりますよ」