【番外編更新】虐げられた私の身代わり婚約、そして見つけた幸せ
幕間 ローランド
「陛下、よろしかったのですか?」
ユーインにエスペランサへ渡す首飾りを託した後、声をかけてきたのは宰相であるコーディだった。魔宝石は妹であるバレンティナの形見だ。それを知っているからこそ、彼は案じる様子でローランドへ訊ねたのだろう。
「ああ、妹の頼みだからな」
あれは条約締結の数年前だったか。ローランドは誕生日を迎えるバレンティナに何が欲しいか質問をした。その時、『魔宝石がふたつほしいのです』と言われたのだ。彼がどんな魔宝石が良いのだろうか、と考えているところに、後に双子石と呼ばれる魔宝石が発掘されたとの知らせが届く。ローランドはこれ幸いに、と双子石をバレンティナに贈ったのだが……。
――今でも覚えている。双子石を贈られた時のバレンティナの言葉を。
『想像通りでしたわ! 魔宝石をありがとうございます! お兄様』
『喜んでもらえて良かったよ。ちなみに興味半分で聞くんだが……それは何に使うんだい?』
彼女は首を傾げて少し悩んでから、柔らかく微笑んだ。
『将来、生まれた子どものために使うのよ。とびっきりの贈り物を残しておくためにね!』
その時は笑って話を終えたのだが、ふと立ち止まって考えてみると……最後の言葉に疑問を覚えたのだ。生まれた子どものために、という言葉に。
すぐにコーディから仕事の話を振られたこともあり忘れていたが、次にそのことを思い出したのは、彼女が予言の巫女として覚醒する数ヶ月前の話だ。
『ねえ、お兄様。こちら、預かっていてくださる?』
その時に渡されたのが、双子石のひとつだった。どうやらひとつは首飾りに加工し、もうひとつは魔宝石の状態のままだ。
『それは良いのだが……子どものために取っておくのではなかったか?』
そう話せば、バレンティナは虚を突かれたような表情をする。
『お兄様、よく覚えているわね』
『ああ。印象深かったからな』
自らの研究のための贈り物を欲していたバレンティナが初めて『子どものため』という理由で魔宝石を欲したのだ。印象に残らないはずがない、と肩をすくめて話せば、彼女は『確かにそうね』と笑った。
『将来私の子どもが無事にお兄様と会えたら、渡してくれる?』
『……ああ』
今までの違和感が全て繋がった。彼女は未来が見えているような言い方をしていたのだ。
ふたつあるのにひとつしか使用しない魔宝石、まるで子どもが一人しか生まれないと言わんばかりの話し方――。
それを証明するかのように、それから数ヶ月後……バレンティナは予言の巫女となった。
ユーインにエスペランサへ渡す首飾りを託した後、声をかけてきたのは宰相であるコーディだった。魔宝石は妹であるバレンティナの形見だ。それを知っているからこそ、彼は案じる様子でローランドへ訊ねたのだろう。
「ああ、妹の頼みだからな」
あれは条約締結の数年前だったか。ローランドは誕生日を迎えるバレンティナに何が欲しいか質問をした。その時、『魔宝石がふたつほしいのです』と言われたのだ。彼がどんな魔宝石が良いのだろうか、と考えているところに、後に双子石と呼ばれる魔宝石が発掘されたとの知らせが届く。ローランドはこれ幸いに、と双子石をバレンティナに贈ったのだが……。
――今でも覚えている。双子石を贈られた時のバレンティナの言葉を。
『想像通りでしたわ! 魔宝石をありがとうございます! お兄様』
『喜んでもらえて良かったよ。ちなみに興味半分で聞くんだが……それは何に使うんだい?』
彼女は首を傾げて少し悩んでから、柔らかく微笑んだ。
『将来、生まれた子どものために使うのよ。とびっきりの贈り物を残しておくためにね!』
その時は笑って話を終えたのだが、ふと立ち止まって考えてみると……最後の言葉に疑問を覚えたのだ。生まれた子どものために、という言葉に。
すぐにコーディから仕事の話を振られたこともあり忘れていたが、次にそのことを思い出したのは、彼女が予言の巫女として覚醒する数ヶ月前の話だ。
『ねえ、お兄様。こちら、預かっていてくださる?』
その時に渡されたのが、双子石のひとつだった。どうやらひとつは首飾りに加工し、もうひとつは魔宝石の状態のままだ。
『それは良いのだが……子どものために取っておくのではなかったか?』
そう話せば、バレンティナは虚を突かれたような表情をする。
『お兄様、よく覚えているわね』
『ああ。印象深かったからな』
自らの研究のための贈り物を欲していたバレンティナが初めて『子どものため』という理由で魔宝石を欲したのだ。印象に残らないはずがない、と肩をすくめて話せば、彼女は『確かにそうね』と笑った。
『将来私の子どもが無事にお兄様と会えたら、渡してくれる?』
『……ああ』
今までの違和感が全て繋がった。彼女は未来が見えているような言い方をしていたのだ。
ふたつあるのにひとつしか使用しない魔宝石、まるで子どもが一人しか生まれないと言わんばかりの話し方――。
それを証明するかのように、それから数ヶ月後……バレンティナは予言の巫女となった。