僕と影~生首に出会う

26.遊戯

「ふむ、終いでござるな」


 生首がカラカラと笑って、猫娘が唇を尖らせた。


「ワンパンとか、おかしいでしょ!!」


「なに、児戯でござるよ。言ったであろう? 小童の相手は得手とな」


「にゃーーーっ! ムカつく!」


 結局、僕がサイコロを振ったのは一度だけだった。

 正座は苦手だから、すぐに終ってよかった。


「帰っていい? 不満なら檜扇は返すよ。別になくていいし」


 猫娘が涙目で僕を睨んだ。

 しばらく睨み合って、飽きてきたから僕は膝をポンと叩いた。


「おいで」

「ふにゃっ」


 瞳を光らせて、猫娘が僕の膝に飛び込んできた。

 髪を梳き、耳の後ろをかいてやる。

 猫娘はゴロゴロ喉を鳴らして僕の腰にしがみついた。


「あたしのこと、連れて帰ってよ」

「ヤダ。君、面倒だから」

「生首は連れて帰ったのに」

「連れて帰らないほうが面倒そうだったから」

「名前で呼んでよ」

「ヤダ。懐かれたくないし、僕は君を僕のものにしたくない」

「なんで」

「僕の方が先に死ぬから」

「やーだー!」


 駄々をこねる猫娘を一頻り撫でてから、最後に手の甲で頬を撫でて立ち上がった。


「檜扇は借りていくよ」

「ええ、返しに来なさいよ」


 ムスッと不細工な顔をした猫娘に小さく頷いて、僕は歩き出した。

 影も生首を抱えて付いてくる。


「……それがし、何を見せられていたのでござろうか」

「考えるな。感じるんだ」

「人外ラブコメの波動を感じ申した」

「まあ、こいつの周りは人外ばっかだから」

「ははは、その筆頭が何を申すか」


 影と生首はヒソヒソやってるけど、全部聞こえている。

 うるさいな、もう。
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