家族に裏切られ全てを奪われた私は、辺境地に住む強くて心優しい彼に出逢い、沢山の愛と優しさに触れながら失ったモノを取り戻す
「上手いな。どうだ? 馬に乗った景色は」
「……ちょっと、怖いです……」
「まあ、直に慣れるさ」

 それからエリスの後ろにギルバートが軽々と跨ると手網を握り、

「それじゃあ、しっかり掴まってろよ」

 両足の(かかと)でリュダのお腹を軽く蹴ると、それを合図にリュダが動き出した。

「きゃあっ」

 動き出した事にびっくりしたエリスは小さく悲鳴を上げる。

「平気だ。振り落とされたりしないから、怖がらずに前を向いてみろ」

 優しげに微笑みながらエリスを安心させるギルバート。

「は、はい……」

 初めは怖がって俯いていたエリスも、リュダが走り出してから暫くすると慣れてきたのか顔を上げられるようになっていた。

 それというのも、ギルバートが後ろで身体を支えてくれているからだとエリスは思う。

「どうだ? 慣れてくると大した事は無いだろ?」
「そうですね……あの、ギルバート……さん」
「何だ?」
「ギルバートさんは、何故あの森に?」
「ああ、仕事の帰りに少し寄り道をしていたら、野犬が数匹興奮した状態で歩いているのを見掛けて気になってな。少し調べていたらお前が倒れていた」
「そう、だったんですね」
「あの森は最近色々と物騒なんだ。特にお前が倒れていたあの小道は、迷い込むと厄介だ。あそこで力尽きていたのはある意味運が良かったんだ」

 ギルバートの話を聞いたエリスは、彼に見つけて貰えて本当に良かったと心の中で安堵した。
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