家族に裏切られ全てを奪われた私は、辺境地に住む強くて心優しい彼に出逢い、沢山の愛と優しさに触れながら失ったモノを取り戻す
 足を負傷しているエリスを気遣ったギルバートは、遠慮する彼女の身体を抱き上げると、そのまま獣道を抜けて森の外へ歩いて行く。

 ギルバートが暫く歩みを進めていくと、一頭の馬が大きな木の下で涼んでいた。

「リュダ、待たせたな」

 どうやらギルバートの馬らしい。

「……あの、ここは……」
「ここはサラビア国の外れにあるルビアン街道だ。ここから俺の住む場所まではだいぶ距離があるからな、このリュダで移動する」

 ギルバートは言いながらエリスを降ろすと、リュダの側に置いてあるに荷物の中からガーゼや包帯を取り出した。

「エリス、そこの切り株に座れ。ひとまず足の手当をする」
「あ、はい……」

 言われた通り切り株に腰を降ろしたエリスの前に屈んだギルバートは、持っていた水で足の傷を洗い流し、ガーゼで丁寧に拭いてから包帯を巻いていく。

 両足の手当を終えたギルバートは側で見守っていたリュダの頭を撫でると、まるで合図を受けたかのようにリュダが立ち上がる。

 そして、

「応急処置は終えた。後は家に帰ってからだ。さてエリス、リュダに乗ってみろ」

 エリスにリュダの上に乗るよう促すも、馬に乗った事の無いエリスは戸惑いの色を浮かべている。

「姫様には難しいかもしれないが、慣れれば簡単だ。ほら、怖がらずに乗ってみろ。コイツは大人しいし、支えてやるから大丈夫だ」
「……分かり、ました」

 しかし、いつまでもここに居る訳にはいかないと、覚悟を決めたエリスはギルバートを信じて言われた通り、まずは側にある切り株を踏み台代わりにして左足を上げて(あぶみ)に掛け、右手を鞍壺(くらつぼ)の向こう側に持ってくる。

 それから右足で踏みきりギルバートに支えられながら両手で体を引っ張り上げて左足で鐙に立ち、右足を大きく上げてリュダを跨いだ。

 彼の言葉通りリュダは大人しく、エリスが背に乗っても微動だにしない。
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