家族に裏切られ全てを奪われた私は、辺境地に住む強くて心優しい彼に出逢い、沢山の愛と優しさに触れながら失ったモノを取り戻す
 暫く走り続けた後、サラビア国の中心部へ辿り着いたエリスたち。

 人の賑わう市場へやって来ると、ギルバートはリュダから降り、エリスにも降りるよう命じた。

「これを羽織るといい。これならば顔もよく見えないからお前の容姿が知られる事も無い」

 リュダを裏通りの一角にある屋根のある休憩スペースの柱付近に繋いで待たせると、自身が羽織っていたフード付きのマントを脱いでエリスに差し出した。

 勿論身長や体格差のあるエリスには少し大きくてブカブカなのだが、血の付いたネグリジェ姿よりは幾分も見栄えが良い。

 ひとまずマントで身体を覆い、フードを目深に被ったエリスの前に、今度はギルバートが背を向けてしゃがみ込む。

「あの、ギルバートさん?」

 そんな彼の行動に疑問を抱いたエリスが声を掛けると、

「流石に靴の代わりになる物は持ち合わせていないからな、俺の背中に乗ってくれ」
「ええ!?」

 どうやら靴の代わりになる物が無いから背負っていくつもりのようで、エリスに背中へ乗るよう促した。

「そんなっ! 大丈夫です、歩けますから!」

 とはいえ、いくら何でもそこまでして貰う訳にはいかないエリスは歩くと言ってギルバートの申し出を断ろうとするも、

「遠慮はするな。これ以上そんな傷だらけの足で歩くと治りも遅くなる。いいから乗るんだ」

 ギルバートの方は一歩も引く気がないようで、少し強い口調で再度乗るよう促した。

 そんな彼を前にしたエリスは、心配してくれている事と、これ以上迷惑を掛けない為にも素直に申し出を受ける事を決めて、戸惑いながらもギルバートの背に自身の身体を預けた。
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