家族に裏切られ全てを奪われた私は、辺境地に住む強くて心優しい彼に出逢い、沢山の愛と優しさに触れながら失ったモノを取り戻す
「そんな……」
「まあ、あくまでも噂は噂でしか無い……がな」
「そうですよ……そんな、実の父親と弟がお兄さんを手にかけるだなんて……」

 そう口にしつつ、エリスは思う。

 もし今のギルバートの話が本当だとして、シューベルトが既に人一人を手にかけているのだとしたら、自分を殺す命令を誰かに下したとしても何とも思わないのではという事だ。

「血が繋がっていようが無かろうが、何らかの邪魔になるならその存在を疎ましく思い、この世から消すという選択をする事もあると、俺は思っている」
「…………」

 そんなギルバートの言葉に、エリスは返す言葉が見つからなかった。

 実際身内に殺されかけたエリスだからこそ、何も言えなかったのだ。

「エリス、お前はこのままで良いのか?」
「え?」
「きちんと真実を知り、自分の居場所を取り戻すべきでは無いのか?」
「……出来る事ならば、そうしたいです……だけど、私は何も出来ない……」.
「何故出来ないと決めつける?」
「だって、私には、何も無いから……」

 ギルバートの言う通り、何故自分は殺されなければならないのか、それ程までにシューベルトやリリナ、アフロディーテに恨まれているのかという事を知りたいとは思うが、何の取り柄も無い自分に何か出来るはずが無いと決めつける。
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