家族に裏切られ全てを奪われた私は、辺境地に住む強くて心優しい彼に出逢い、沢山の愛と優しさに触れながら失ったモノを取り戻す
 けれど、そんなエリスにギルバートは、

「大丈夫だ、お前は一人では無い。俺が居る。必ずお前の力になると約束しよう。だから、今のお前は無力なんかじゃない。願えば何だって出来る」
「ギルバート、さん……」

 エリスは思う、出来る事ならシューベルトと離婚をして、父や母が愛したルビナ国へ帰りたい。

 アフロディーテを追放して、愛する国を守りたい。

――それが、彼女の一番の望みだった。

「ギルバートさん……何故あなたそこまで、私に親切にしてくださるのですか?」
「それは…………形は違えど、俺とお前が、同じような境遇にいるから」
「そう、なんですね」

 ギルバートの事を詳しくは分からないが、彼がそう言うのならばそうなのだろうと深く追求する事はせずに頷くエリス。

 例えギルバートをよく知らなかったとしても、命の恩人である事、初対面の自分に良くしてくれている事が全てで、そんな彼が力を貸してくれるというのだ。

 断る理由が無かったエリスは、

「……それではギルバートさん、お願いします、どうか私に力を貸してください。私は何故自分が殺されなければならないのかという理由を知りたいし、奪われた大切な居場所を、取り戻したいです」

 姿勢を正して深々と頭を下げながらギルバートに協力を願い出たのだ。

「分かった。ならば俺は、必ずお前の助けになる。何があっても、お前を守り抜くと誓おう」
「ありがとうございます…………あの、今の私は何も出来ませんが、もし、全てが片付いて無事に自国へ戻る事が出来た暁には、必ず何かお礼をさせてください」
「まあ、お前がそれで満足出来ると言うならば有難く受けよう」
「はい!」

 愛する自国の為に政略結婚をして、幸せとまではいかなくても、不自由無い暮らしを送るはずだったエリス。

 しかし約束とはまるで違っていて、夫には疎まれ、幽閉され、ほぼ自由の無い毎日を送らされた挙句、突如命を狙われ逃げ出す羽目になった。

 そんなエリスの前に現れた、人が苦手だというギルバート。

 傭兵をしながら生計を立てている彼は恐らく強いのだろう。

 何があっても守り抜くと誓いを立てたギルバートを信じて全てを預ける事を決めたエリスはこれまでの経緯を包み隠さずギルバートに話をして情報を共有した。


 こうして、成り上がりの復讐劇は静かに幕を開ける事になったのだった。
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