家族に裏切られ全てを奪われた私は、辺境地に住む強くて心優しい彼に出逢い、沢山の愛と優しさに触れながら失ったモノを取り戻す
 そして、二日後の深夜。

 港には数人の見張り兵が辺りを巡回する最中、見つからないよう物陰に身を隠しつつ、目当ての船の側へ辿り着いた二人。

 他の船と違って王族専用の船だからか見張りも多い。

 ここからどのようにして船に乗り込むのかとエリスが不安に思っているさなか、ギルバートはポケットから小石をいくつも取り出すと、四方にある積荷の木箱に当てて音を立てる。

 その音に気付いた見張り兵が辺りを警戒し始めると、さらに今度は地面目掛けて石を投げて音を立てていくギルバート。

 それを四方にするものだから至るところから音が聞こえてきて、見張り兵たちは周りに何人かが潜んでいると勘違いしたのか、一人を残して船の周辺を調べる為に散っていく。

「エリスはそこで待っていろ」

 そう言い残したギルバートは残った見張り兵に背後から忍び寄ると、後頭部を殴りつけて相手を気絶させ、エリスが身を潜めていた場所へ戻って来た。

「ギルバートさん、この方をどうするつもりなんですか?」

 男の口を布で塞いだ後で、身に付けた肩鎧や籠手を取っていく。

「ギルバート、さん?」
「俺はこれからコイツに成り代わって船内に忍び込む。こういうところの見張り兵は皆その日集められた雇われ兵で互いの顔などいちいち覚えていない。服もバラバラだしな。幸いコイツは俺と背丈も髪色も同じだから、バレないだろう」

 そして、不思議そうな表情を浮かべていたエリスにギルバートは、見張り兵に成り代わって船内へ忍び込む事を告げた。
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