家族に裏切られ全てを奪われた私は、辺境地に住む強くて心優しい彼に出逢い、沢山の愛と優しさに触れながら失ったモノを取り戻す
 そんな事をして気付かれでもしたら大変な事になると不安に思いながらも、ギルバートの強さならばどうにかなりそうな気もするエリス。

 ふと、一つの疑問が頭に浮かぶ。

「あの、私はどのようにして船に乗り込めばいいのでしょう?」

 それは自分がどのようにして船内に乗り込むのかという事。

 まさかギルバートと同様見張り兵に成り代わる訳にはいかず、それならば他にどんな手段があるのか気になっていると、

「お前には少し不便を掛けるが、暫く積み荷の中に身を潜めていて欲しい」

 言いながらすぐ側に置いてある大きな酒樽を指差した。

「え? 私、この中に入るんですか?」
「ああ、お前の背丈ならば少々窮屈かもしれないがいけるだろう。大丈夫、必ず成功するから、俺を信じてくれ」

 ギルバートの言葉に驚くも、恐らくそれ以外に手段は無さそうなのでエリスは小さく頷いた。

「分かりました。あの、ギルバートさんもくれぐれも気を付けてくださいね」
「ああ、分かっている」

 そう言葉を交わした後、エリスは酒樽の中へ身を潜めた。

 中は窮屈ではあるものの、比較的小柄で細身のエリス一人ならばそこまで窮屈では無く、樽には多少の隙間もあるので外の様子も覗く事が出来る。

 そして、その樽をギルバートは他の見張りが戻って来ないうちに船内へと運んでいくと、自分から見える安全な場所に置いて何食わぬ顔で再び持ち場に戻った。

 それから数時間後、予定より少し早めに出航する事になる。

 しかも、アフロディーテやリリナの他にシューベルトの姿も船にはあった。

 何が目的なのか、シューベルトはアフロディーテたちと共にルビナ国へ向かうつもりらしい。
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