奪われる人生なら、 すべて捨ててしまいましょう ~忘れ去られた第七王女による国を巻き込んだ逆転劇~
 あの魔道具は手に入らないのかとせっついてくる妻や娘、婚約者等に疲れた貴族もまたトーマスを重用してくれるというわけで、魔道具の売り出しから半年も経たないうちにトーマスの勢力もまた増大していた。

「そろそろ、他の商人からやっかみを受けているのではないか?」
「問題ございません。こちらに友好的な者には便宜を図っておりますので」

 とトーマスはにやり。
 友好的な商人には仕事をどんどん回し、直接攻撃をしかけてきた者には報復を――というわけで、急激に勢力を伸ばしただけではなく、味方もちゃんと増やしている。
 その分敵も増えてしまうわけだが――この点については、もう諦めるしかない。

「……だが、まだ」

 皇帝を暗殺してそれで終了というわけにはいかない。
 疑われるのはディーデリックだ。皇帝を退けるためには、それなりに準備が必要だ。

「皇帝陛下を蹴落とせるだけの証拠は、見つかると思いますか……?」

 エリュシアが不安になってしまったのは、前世で皇帝に殺されたからかもしれない。
 彼は、エリュシアにとっては恐ろしい相手だった。初めて顔を合わせたあの時から。

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