奪われる人生なら、 すべて捨ててしまいましょう ~忘れ去られた第七王女による国を巻き込んだ逆転劇~
 貴族や商人達から集めた金銭を素材に費やしていたのだとすれば――魔道具師としての情熱を、もっと違う方向に使えばよかったのに。

「では、そちらの情報操作は私にお任せを」

 とにっこりと笑ったのはトーマスである。

「商人には、商人の戦い方があるというところを、お見せしましょう。その間に、殿下とシャリーン様は準備を。エリュシア様は、私に同行してください」

 こうして話し合いの結果、エリュシアはしばらくの間トーマスと行動を共にすることになった。
 話し合いの翌日。見習い商人としての衣装に身を包んだエリュシアを同伴したトーマスがまず訪れたのは、とある公爵夫人のところである。
 皇帝とは従兄弟にあたる男性の妻だ。彼女自身、名門侯爵家の出身であり、帝国内ではかなりの権力を誇っている。

「ようやく、ご注文の品を揃えることができましたので……遅くなってしまい、大変申し訳ありませんでした」
「いいのよ。質のよい魔宝石を揃えるのも大変だものね」

 今日持参した魔道具に使われている魔宝石は、エリュシアが自身の魔力から作り出したものである。
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