領地開拓のために捨てられ令息を拾ったら、わんこ系イケメンになって懐かれました!
***
「なんなのよ!」
フォリーナは寝室のベッドの上で枕をばんばんと叩きつけていた。
「なんで婚約破棄を受け入れたのよ! 捨てないでくださいってすがりつくところでしょ!」
王子に色目を使ったら簡単に落ちた。女にだらしない男だから、すぐにほかの女にいい寄るだろう。こっちも遊びだからそれで問題ない。
舞踏会での婚約破棄は、ちょっとしたお遊戯だった。
セシルが「捨てないでください」と自分にすがる。その姿を見たらきっと気分がいいだろうと思っていた。
なのに彼は破棄を受け入れて、なおかつどこのとも知れない女にかっさらわれた。
ありえない事態だ。
さらに、彼の父親から『戻らなければ絶縁だ』と脅しをかけさせたのに、それも受け入れるなんてありえない事態だった。
あの女、許さない。私のおもちゃを奪っていくなんて。
「あんなド田舎の芋くさい女に!」
そんなのプライドが許さない。
もしウィルフレッドが本当に結婚したいと言うなら、してもいい。王子という肩書きはなにものにも代えがたい。だけどセシルというおもちゃもまた、ほかには代えがたい。
「ウィルフレッドに言って、取り戻さないと。もしセシルを返さないなら」
フォリーナは枕の布地を引っ張って裂いた。
「あの女は、消してやるわ」
枕に詰まっていた羽毛が部屋中に飛び散る。
白い羽がふわふわと舞い散る中、フォリーナは声を上げて笑った。
第一話 終


