恋を知らない侯爵令嬢は裏切りの婚約者と婚約解消し、辺境地セカンドライフで溺愛される
 そっと私の手を握ったカーラは「心配をなさらず」と励ましを口にした。その時、寝室とアルフレッドの私室を繋ぐドアが静かに叩かれた。

「旦那様が、いらっしゃいましたね」

 静かに立ち上がったカーラは、ドアの前へと移動して静かに開いた。

「少し来るのが早かったでしょうか?」
「いいえ。休もうと思っていたところです」

 ドレッサーの前から立ち上がると、アルフレッドが近づいてくる。
 カーラはハーブ水の残る水差しとグラスをベッド横の小さなテーブルに移動すると、ドアの前に移動した。

「旦那様、奥様、おやすみなさいませ」
「ありがとう、カーラ。その……貴女も無理をしないで、早く休んでね」
「お心遣い感謝いたします」

 にこりと微笑んだカーラが部屋を出ると、私の腰に手を回したアルフレッドが「なにかありましたか?」と尋ねた。じっと私を見つめている真剣な顔に、ほんの少しだけ言葉を探す。

 カーラはああいっていたけど……
 なにもかも相談するっていうのは、勇気がいるわね。
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