恋を知らない侯爵令嬢は裏切りの婚約者と婚約解消し、辺境地セカンドライフで溺愛される
 望んで良いなら……私はもう、フェリクス様とダイアナの姿を見たくない。
 
「……オーランド伯爵様は、ご承知なのでしょうか?」
「これから承諾を得に行くと言っていた。私を後ろ盾にして、説得するつもりだったのだろう。無論、そのような戯れに手を貸すつもりはない」
「旦那様、甘く見られたものですわ!」
「そうだな。私も、少々腹を立てているよ。しかし、オーランド伯爵には同情するな。あれが跡継ぎとは」
「リリー、そんなところに嫁ぐ必要はありませんよ! そもそも、リリーにはもっと相応しい男性がいるではありませんか」
「……私に、相応しい?」 

 言葉の意味がわからずに尋ねると、ぷりぷりと怒っていたスカーレットお姉様の顔が、ふっと朗らかなものへ変わった。ロスリーヴ夫人としてではなく、私のお姉様として、慈愛に満ちた眼差しを向けてくださる。

「スカーレット。そんなことを言い出したら、リリーが困るだろう」
「あら、旦那様も言ってらしたでしょ。あんな不誠実な男ではなく、アルフレッドに嫁がせるべきだって!」

 突然の言葉に理解が追い付かず息を呑んだ。
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