恋を知らない侯爵令嬢は裏切りの婚約者と婚約解消し、辺境地セカンドライフで溺愛される
「クラレンス辺境伯……跡継ぎとなるなら爵位は申し分なくなるが、確かに、嫁ぐのは少し考えた方が良さそうだな」
「そうね。クラレンス領では……」

 さっきまで、アルフレッドと結婚すればいいと推していたお姉様まで、突然言葉を濁した。
 しばし沈黙が流れた後、すっかり温くなった紅茶を飲み干した侯爵様は私の名を呼んだ。

「リリーステラ、そなたに相応しい相手を私も探そう。無理をして、オーランド家に嫁ぐことはない。義父上にも私からそうお伝えしよう」
「……ありがとうございます、お義兄様」
 
 こうして、私とフェリクス様の婚約が解消されることは、ほぼ確定した。

 だけど、そんなことよりも私の心は、近い未来にアルフレッドがいなくなることに悲鳴をあげていた。

 嫌よ。こんな辛いときに、どうしていなくなるの。
 アルフレッドは、私の従者でしょ?
 ずっと側にいてくれると思っていたのに。どうして……
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