恋を知らない侯爵令嬢は裏切りの婚約者と婚約解消し、辺境地セカンドライフで溺愛される
 もしかして、まだどこか不調なのかも。
 一瞬不安になり、アルフレッドの顔を覗き込もうとしたら、肩口に額を押し付けられた。

「貴女という人は……」
「アルフレッド? まだ具合が悪いの?」

 魔力の解放をするのは久々だったし、もしかしたら失敗したのかしら。
 一瞬ヒヤリとしたけど、私を抱き締めるアルフレッドの体温は先ほどまでと違って心地よい。
 汗も引いてるし落ち着いたみたいだけど。

 そっと背中を擦ると、首筋に優しい息がかかった。

「みっともない姿をお見せしました」
「……え?」
「魔力の固まりを作り出すなど、未熟の極み」

 ぼそぼそといいながら顔を見せようとしないのは、もしかして……失態を冒したとか、恥ずかしく思っているのかしら?

 いつも姿勢正しく規律を乱さず、私の斜め後ろに立ち続けていたアルフレッド。どこに連れていっても恥ずかしくない完璧な従者だと思っていた。
 そんな彼が動揺している。
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