トグルが取り持つ縁などは
「キャン!!」
とんでもない発語をしてしまって
私は今、誰かのお膝の上に半分お尻を乗っけてる。
ガタン!
次のバスの揺れで私はその“お膝”から雨で汚れた床へずり落ちそうになり
「あっ?!」
と言うオトコ声と共に抱き留められた手が掛かったのは……
“胸”だった。
「ギャア!!」
と叫んで、胸に回された手をすり抜け身を起こそうとすると
グイッと髪の毛を引っ張られる。
「イタタタタ!!」
この一連の騒ぎですっかり周りの耳目を集めてしまった私のカッコウは……
後ろ髪をダッフルコートのトグルに、スカートの端っこをバスケットボールの入った部活リュックの外網に取られてズッコケてる哀れなJKだ。
それなのにバスの音声案内は容赦無い!!
『次は西高前~』
降りなきゃ!!
降車ボタン押さなきゃ!!
あ、スカート!!
スカートを網から振りほどこうと身をよじるとダッフルコートのトグルに絡みついた髪が引っ張られる
「イテテテッ!!」
どうしよ!
後ろ振り返ってほどける程の髪の長さじゃ無いし……もう着いちゃうよぉ~!
こんな事になるのなら……雨に濡れてもいいから自転車で来るんだった!!
無情にもバスは『西高前』に停車。 ブザーが鳴って扉が開く。
「下りるぞ!!」
また“オトコの子”に抱きかかえられてバタバタと二人ステップを降りたら、途端に雨の洗礼!
オトコの子、ジャンプ傘をバサン! と開いて私に差し掛けてくれながら
「同じ学校で良かったよ! とにかく下駄箱まで“相々傘”で我慢なっ!」
で、二人、気の合わない二人三脚みたいにトタトタ小走り
下駄箱まで来てようやくカレを見上げたら(バスケ部だけに背が高かった)見覚えのある……まつ毛の長い塩顔のイケメンだった。
うわっ!! イケメン苦手!!(ふつーのオトコの子もだけど……)
でも、そうも言ってらんないので殊勝なフリをして頼んでみる。
「あの、申し訳ないんですけど……絡まった髪をほどいていただけますか?」
「あ、ゴメン! オレ無理だから!」
「えっ?!」
「そういう細々したの、ダメなんだ! コート、何とか脱いでみるよ」
イケメンがモゾッと動くと、途端に髪はピンッと引っ張られて私は涙目……
絶対に今ので、髪の毛2、3本は抜けた!!
と、イケメンが誰かに気付いたようだ……
「おっ!! 咲希~!!」
『だれがおさきにだって?!』
良く通る声だ。
で、その声の持ち主は……
イヤになるけど
美少女!!
こちらへ近付いて来るリボンの色で二年生のセンパイと分かった。
「まだ、朝だぜ!なんで『お先に』なんだよ!」
「アンタが言ったんじゃん!」
「オレ! お前の名前しか呼んでね~し! 聞き間違えじゃねーの?!」
「だから! 学校じゃ私が1個上なんだから! 咲希センパイと呼びなさい!」
「次、お前を呼ぶ事があったら考えるよ! それよっか、これ! 何とかしてくんない?」
“美少女” 咲希センパイは腰に拳を当てて、“トグル”に絡め取られている私を見る。
「気の毒に……こいつのナンパの手管に引っかかったの?」
「人聞きの悪い事言うなよ!」
イケメンと美少女の“痴話げんか”を頭上でやられて私の居心地が良いわきゃない!
「あのセンパイ! ハサミ持ってたら……この髪、もう切っちゃって下さい!」
「ダメよ! こんな綺麗な髪を切るなんて! なるだけ痛くないようにするから私に任せて! ホント!こんなヤツに手篭めにされて可哀想に……」
いや、センパイ! 別に手篭めにはされてませんよ!
とにかくこの美少女の優しい指先で私はようやくトグルから解放され、ほっと一息付いたらチャイムが鳴った。
「1限目体育なんだよ! 着替えヤバいから先、行く! 4組の佐藤さんだよね? お礼は後でいいから」
スタスタと行ってしまうイケメンの背中を……私はうっかり見送ってしまった。
お礼??!! どういう事??
中学での内申が、ちょっとだけ良かったお陰で……先生の指導振り分けに沿って受験したら受かってしまった『西高』…… 元より『高望みはせず大過なく』と心掛けてようやく1年の3学期までたどり着いたのに……
これが……
『自分には絶対!! 起こり得ない!!』と信じて疑わなかった……
『少女マンガ的事象』の幕開けだった。
とんでもない発語をしてしまって
私は今、誰かのお膝の上に半分お尻を乗っけてる。
ガタン!
次のバスの揺れで私はその“お膝”から雨で汚れた床へずり落ちそうになり
「あっ?!」
と言うオトコ声と共に抱き留められた手が掛かったのは……
“胸”だった。
「ギャア!!」
と叫んで、胸に回された手をすり抜け身を起こそうとすると
グイッと髪の毛を引っ張られる。
「イタタタタ!!」
この一連の騒ぎですっかり周りの耳目を集めてしまった私のカッコウは……
後ろ髪をダッフルコートのトグルに、スカートの端っこをバスケットボールの入った部活リュックの外網に取られてズッコケてる哀れなJKだ。
それなのにバスの音声案内は容赦無い!!
『次は西高前~』
降りなきゃ!!
降車ボタン押さなきゃ!!
あ、スカート!!
スカートを網から振りほどこうと身をよじるとダッフルコートのトグルに絡みついた髪が引っ張られる
「イテテテッ!!」
どうしよ!
後ろ振り返ってほどける程の髪の長さじゃ無いし……もう着いちゃうよぉ~!
こんな事になるのなら……雨に濡れてもいいから自転車で来るんだった!!
無情にもバスは『西高前』に停車。 ブザーが鳴って扉が開く。
「下りるぞ!!」
また“オトコの子”に抱きかかえられてバタバタと二人ステップを降りたら、途端に雨の洗礼!
オトコの子、ジャンプ傘をバサン! と開いて私に差し掛けてくれながら
「同じ学校で良かったよ! とにかく下駄箱まで“相々傘”で我慢なっ!」
で、二人、気の合わない二人三脚みたいにトタトタ小走り
下駄箱まで来てようやくカレを見上げたら(バスケ部だけに背が高かった)見覚えのある……まつ毛の長い塩顔のイケメンだった。
うわっ!! イケメン苦手!!(ふつーのオトコの子もだけど……)
でも、そうも言ってらんないので殊勝なフリをして頼んでみる。
「あの、申し訳ないんですけど……絡まった髪をほどいていただけますか?」
「あ、ゴメン! オレ無理だから!」
「えっ?!」
「そういう細々したの、ダメなんだ! コート、何とか脱いでみるよ」
イケメンがモゾッと動くと、途端に髪はピンッと引っ張られて私は涙目……
絶対に今ので、髪の毛2、3本は抜けた!!
と、イケメンが誰かに気付いたようだ……
「おっ!! 咲希~!!」
『だれがおさきにだって?!』
良く通る声だ。
で、その声の持ち主は……
イヤになるけど
美少女!!
こちらへ近付いて来るリボンの色で二年生のセンパイと分かった。
「まだ、朝だぜ!なんで『お先に』なんだよ!」
「アンタが言ったんじゃん!」
「オレ! お前の名前しか呼んでね~し! 聞き間違えじゃねーの?!」
「だから! 学校じゃ私が1個上なんだから! 咲希センパイと呼びなさい!」
「次、お前を呼ぶ事があったら考えるよ! それよっか、これ! 何とかしてくんない?」
“美少女” 咲希センパイは腰に拳を当てて、“トグル”に絡め取られている私を見る。
「気の毒に……こいつのナンパの手管に引っかかったの?」
「人聞きの悪い事言うなよ!」
イケメンと美少女の“痴話げんか”を頭上でやられて私の居心地が良いわきゃない!
「あのセンパイ! ハサミ持ってたら……この髪、もう切っちゃって下さい!」
「ダメよ! こんな綺麗な髪を切るなんて! なるだけ痛くないようにするから私に任せて! ホント!こんなヤツに手篭めにされて可哀想に……」
いや、センパイ! 別に手篭めにはされてませんよ!
とにかくこの美少女の優しい指先で私はようやくトグルから解放され、ほっと一息付いたらチャイムが鳴った。
「1限目体育なんだよ! 着替えヤバいから先、行く! 4組の佐藤さんだよね? お礼は後でいいから」
スタスタと行ってしまうイケメンの背中を……私はうっかり見送ってしまった。
お礼??!! どういう事??
中学での内申が、ちょっとだけ良かったお陰で……先生の指導振り分けに沿って受験したら受かってしまった『西高』…… 元より『高望みはせず大過なく』と心掛けてようやく1年の3学期までたどり着いたのに……
これが……
『自分には絶対!! 起こり得ない!!』と信じて疑わなかった……
『少女マンガ的事象』の幕開けだった。
