妹ばかり見ている婚約者はもういりません
「ラウロ様を離してくださいっ」
叫ぶと同時に部屋の空気が大きく震えた。私の体から魔力が、どんどん流れ出る感覚がする。
その途端、部屋中の植物が一斉に大きく動き出した。
植物たちはまるで生き物のようにうねって、瞬く間にコルラード殿下に巻き付いていく。
「はっ!? なんだこれは!?」
植物の茎や蔦に突然巻き付かれた殿下は、動揺しきってどうにか外そうともがいている。しかし、動くほどに植物は強く殿下を締め上げた。
殿下を助けようとする兵士たちにも、容赦なく蔦が絡みついていく。
「ジュスティーナ嬢……」
コルラード様の手から解放されたラウロ様は、驚いた顔でこちらを見ていた。
「ジュスティーナ・ローレ!! 何のつもりだ!! 今すぐこのうっとうしい植物をどうにかしろ!」
コルラード殿下が私に向かって怒鳴る。
しかし、困ったことに私には殿下を締め上げている感覚など全くなかった。
これは本当に私がやっていることなのだろうか。魔力が流れ出る感覚こそあるものの、植物を動かしている実感はない。
私の意思とは無関係に、植物はコルラード殿下の首や手や足を締め上げていく。
「ジュスティーナ嬢、大丈夫だ。落ち着いてくれ。一旦深呼吸しよう」
戸惑う私の元にラウロ様が近づいてきて言う。
言われた通り、私は深呼吸を繰り返す。なかなか興奮が収まらない私を落ち着かせるように、ラウロ様がそっと背中を叩く。
そうしているうちにようやく少し冷静になってきた。私の気持ちと連動するように植物たちはしゅるしゅると縮み、元の場所に戻っていく。
絡みつく蔦から解放された殿下が、ぜえはあと息を切らし、怪物でも見るかのような目で私を眺めている。
「貴様……! 王族にこんな真似をしてただで済むと思っているのか!?」
コルラード殿下は、怒りに顔を歪ませて怒鳴った。
私はどうしたらいいのかわからないまま殿下を見る。私に植物を操った自覚はなかったけれど、おそらく無意識に魔法を使ってしまったのだろう。
意図していなかったなんてそんな言い訳が通用するはずがない。
殿下に危害を加えるなんて、大変な罪だ。牢獄に入れられてもおかしくない。
「……コルラード殿下。もしもジュスティーナ嬢を罰しようとするなら、許可なく屋敷に押し入ってきたことも、嫌がるジュスティーナ嬢を無理やり連れて行こうとしたことも、全て公にさせていただきますよ」
ラウロ様は殿下を見据え、限りなく冷たい声でそう言った。
殿下は不快そうにラウロ様を見る。
「はっ、お前などが喚いても誰も聞かないさ。お前が自作自演をして騒いでいるだけだと思うだけだろ」
「殿下の日頃の行いと合わせて考えれば、どちらの言っていることが正しいのか判断してもらえると思いますがね。俺にそんな自作自演を起こす利点はありませんし。この首の傷もいい証拠になるかもしれません」
ラウロ様が首元の傷を押さえながらそう言うと、殿下は心底不愉快そうな顔になった。そして後ろで戸惑い顔をしていた兵士たちを振り向く。
「……もういい。こんな屋敷に長居している暇はない。お前達、引き上げるぞ」
兵士たちは殿下の命に従い、大急ぎで彼を囲むように引き上げていく。ようやく部屋に静けさが戻った。
叫ぶと同時に部屋の空気が大きく震えた。私の体から魔力が、どんどん流れ出る感覚がする。
その途端、部屋中の植物が一斉に大きく動き出した。
植物たちはまるで生き物のようにうねって、瞬く間にコルラード殿下に巻き付いていく。
「はっ!? なんだこれは!?」
植物の茎や蔦に突然巻き付かれた殿下は、動揺しきってどうにか外そうともがいている。しかし、動くほどに植物は強く殿下を締め上げた。
殿下を助けようとする兵士たちにも、容赦なく蔦が絡みついていく。
「ジュスティーナ嬢……」
コルラード様の手から解放されたラウロ様は、驚いた顔でこちらを見ていた。
「ジュスティーナ・ローレ!! 何のつもりだ!! 今すぐこのうっとうしい植物をどうにかしろ!」
コルラード殿下が私に向かって怒鳴る。
しかし、困ったことに私には殿下を締め上げている感覚など全くなかった。
これは本当に私がやっていることなのだろうか。魔力が流れ出る感覚こそあるものの、植物を動かしている実感はない。
私の意思とは無関係に、植物はコルラード殿下の首や手や足を締め上げていく。
「ジュスティーナ嬢、大丈夫だ。落ち着いてくれ。一旦深呼吸しよう」
戸惑う私の元にラウロ様が近づいてきて言う。
言われた通り、私は深呼吸を繰り返す。なかなか興奮が収まらない私を落ち着かせるように、ラウロ様がそっと背中を叩く。
そうしているうちにようやく少し冷静になってきた。私の気持ちと連動するように植物たちはしゅるしゅると縮み、元の場所に戻っていく。
絡みつく蔦から解放された殿下が、ぜえはあと息を切らし、怪物でも見るかのような目で私を眺めている。
「貴様……! 王族にこんな真似をしてただで済むと思っているのか!?」
コルラード殿下は、怒りに顔を歪ませて怒鳴った。
私はどうしたらいいのかわからないまま殿下を見る。私に植物を操った自覚はなかったけれど、おそらく無意識に魔法を使ってしまったのだろう。
意図していなかったなんてそんな言い訳が通用するはずがない。
殿下に危害を加えるなんて、大変な罪だ。牢獄に入れられてもおかしくない。
「……コルラード殿下。もしもジュスティーナ嬢を罰しようとするなら、許可なく屋敷に押し入ってきたことも、嫌がるジュスティーナ嬢を無理やり連れて行こうとしたことも、全て公にさせていただきますよ」
ラウロ様は殿下を見据え、限りなく冷たい声でそう言った。
殿下は不快そうにラウロ様を見る。
「はっ、お前などが喚いても誰も聞かないさ。お前が自作自演をして騒いでいるだけだと思うだけだろ」
「殿下の日頃の行いと合わせて考えれば、どちらの言っていることが正しいのか判断してもらえると思いますがね。俺にそんな自作自演を起こす利点はありませんし。この首の傷もいい証拠になるかもしれません」
ラウロ様が首元の傷を押さえながらそう言うと、殿下は心底不愉快そうな顔になった。そして後ろで戸惑い顔をしていた兵士たちを振り向く。
「……もういい。こんな屋敷に長居している暇はない。お前達、引き上げるぞ」
兵士たちは殿下の命に従い、大急ぎで彼を囲むように引き上げていく。ようやく部屋に静けさが戻った。