妹ばかり見ている婚約者はもういりません
「父上、母上。実はお伝えしたいことがあります」
「なんだ、ルドヴィク。改まって」
「ジュスティーナさんのことで何かあったの?」
両親はじっとこちらを見る。
「俺はジュスティーナではなく、フェリーチェを婚約者にしたいのです」
「……何を言っているんだ?」
俺が口に出した途端、父も母も唖然とした顔になる。顔を引きつらせる父の横で、ぽかんとしていた母が笑いだした。
「一体何の冗談なの? あなたとジュスティーナさんは六年も前に婚約したのよ。ちゃんと神殿で神官様に立ち会ってもらって。そんな簡単に婚約者を代えられるわけないじゃない」
「いえ、俺は本気です。ジュスティーナと結婚するつもりはありません」
きっぱりと言い切ると、母の顔から笑みが消えた。
部屋には沈黙が流れる。
すると、突然父が勢いよく机を拳で叩いた。
「ルドヴィク!! お前、自分が何を言っているのかわかっているのか!?」
父は眉を吊り上げ、今まで見たこともないような怒りに満ちた形相で声を荒げる。俺は怯みそうになりつつも主張した。
「俺は本気です! 同じローレ家の人間なのだから、ジュスティーナではなくフェリーチェが婚約者でも問題ないはずです。いや、ちゃんと人を癒せる光魔法を使える分、フェリーチェの方が我が家の役に立ってくれるはずだ!」
「何をふざけたことを言っている! フェリーチェ嬢の軽いけがを治せる程度の能力を何に使えと言うんだ! ジュスティーナさんの植物を自在に操れる能力にどれほどの価値があるのかわからないのか!? お前だって彼女が魔法を使うところを見たことがあるだろう!?」
「植物を少し元気にする程度の能力にそれほどの価値があるとは思えません! そもそも、婚約破棄は向こうから言い出したんです。婚約破棄したいと考えているような相手とこれから先の生活を共にすることなんて出来ません!」
「ジュスティーナさんに見限られたというのか……! 彼女の機嫌を取って逃げられないようにしておけと、何度も言ってきたのに……!」
顔を真っ赤にして怒鳴っていた父は、頭を抱えてしまった。
しかし、ジュスティーナに見限られたとはなんだ。婚約破棄してきたのは向こうだが、ジュスティーナを捨てたかったのは俺のほうだ。見限ったのはこちらだと言ってもいい。
「ああ、なんてこと……! ジュスティーナさんがいると思うから、生産が落ちても凶作になっても心配しないでいられたのに……!」
頭を抱える父の横で、母は真っ青になって嘆いている。
異様な光景に戸惑うしかなかった。なぜジュスティーナと婚約破棄したくらいで、こんな騒ぎになるのかわからない。
なぜか両親はジュスティーナを高く評価していたので、いい反応をされないとは思っていたが、これほど嘆かれるとは思わなかった。
「なんだ、ルドヴィク。改まって」
「ジュスティーナさんのことで何かあったの?」
両親はじっとこちらを見る。
「俺はジュスティーナではなく、フェリーチェを婚約者にしたいのです」
「……何を言っているんだ?」
俺が口に出した途端、父も母も唖然とした顔になる。顔を引きつらせる父の横で、ぽかんとしていた母が笑いだした。
「一体何の冗談なの? あなたとジュスティーナさんは六年も前に婚約したのよ。ちゃんと神殿で神官様に立ち会ってもらって。そんな簡単に婚約者を代えられるわけないじゃない」
「いえ、俺は本気です。ジュスティーナと結婚するつもりはありません」
きっぱりと言い切ると、母の顔から笑みが消えた。
部屋には沈黙が流れる。
すると、突然父が勢いよく机を拳で叩いた。
「ルドヴィク!! お前、自分が何を言っているのかわかっているのか!?」
父は眉を吊り上げ、今まで見たこともないような怒りに満ちた形相で声を荒げる。俺は怯みそうになりつつも主張した。
「俺は本気です! 同じローレ家の人間なのだから、ジュスティーナではなくフェリーチェが婚約者でも問題ないはずです。いや、ちゃんと人を癒せる光魔法を使える分、フェリーチェの方が我が家の役に立ってくれるはずだ!」
「何をふざけたことを言っている! フェリーチェ嬢の軽いけがを治せる程度の能力を何に使えと言うんだ! ジュスティーナさんの植物を自在に操れる能力にどれほどの価値があるのかわからないのか!? お前だって彼女が魔法を使うところを見たことがあるだろう!?」
「植物を少し元気にする程度の能力にそれほどの価値があるとは思えません! そもそも、婚約破棄は向こうから言い出したんです。婚約破棄したいと考えているような相手とこれから先の生活を共にすることなんて出来ません!」
「ジュスティーナさんに見限られたというのか……! 彼女の機嫌を取って逃げられないようにしておけと、何度も言ってきたのに……!」
顔を真っ赤にして怒鳴っていた父は、頭を抱えてしまった。
しかし、ジュスティーナに見限られたとはなんだ。婚約破棄してきたのは向こうだが、ジュスティーナを捨てたかったのは俺のほうだ。見限ったのはこちらだと言ってもいい。
「ああ、なんてこと……! ジュスティーナさんがいると思うから、生産が落ちても凶作になっても心配しないでいられたのに……!」
頭を抱える父の横で、母は真っ青になって嘆いている。
異様な光景に戸惑うしかなかった。なぜジュスティーナと婚約破棄したくらいで、こんな騒ぎになるのかわからない。
なぜか両親はジュスティーナを高く評価していたので、いい反応をされないとは思っていたが、これほど嘆かれるとは思わなかった。