妹ばかり見ている婚約者はもういりません
「『呪いが解けた件は承知した、一ヶ月後に予定の空いている日があるからその時に王宮まで来るように』と書かれていた」
「え、一ヶ月後ですか……? 本当にそう書いてあるのですか?」
ラウロ様の言葉に、エルダさんは目をぱちくりしている。ラウロ様はうなずいて、エルダさんに手紙を見せた。
エルダさんはしばらくぽかんとした顔で手紙を眺めた後、憤慨した様子で言った。
「せっかく実の子の呪いが解けたというのに! 一ヶ月後だなんて、陛下も王妃様も何を考えてらっしゃいますの!? もっと早くに会いたいと言うべきですわ! むしろ、全ての用事を放り出して今すぐ駆けつけるのが道理ではありませんの!?」
エルダさんは手紙の内容に随分憤っている様子だった。
私も手紙の内容を見せてもらったが、ラウロ様の言った通りのことしか書かれていなかった。
呪いが解けたことに対する喜びの言葉もお祝いの言葉もなく、ただ一ヶ月後に王宮に来いと命じてあるだけ。
国王陛下も王妃様もお忙しいのだろうとは思うけれど、それにしても少し冷たいなと思ってしまった。
しかし憤慨するエルダさんとは裏腹に、ラウロ様は感情を動かされた様子もなく苦笑いしている。
「エルダさん、そんなに怒らないでくれ。おそらくこんな返事が来るだろうとは思っていたんだ。むしろ、王宮に来いと言われたのが意外だったくらいだ。お二人とも、もう俺には興味ないと思っていたのに」
「ラウロ様、そんな悲しいことをおっしゃらないでくださいませ。エルダは悲しいですわ」
ラウロ様の言葉に、エルダさんは眉根を下げて悲痛な顔をしている。
ラウロ様はそんなエルダさんを少し困った顔をしながらなだめていた。
やがて怒ったり悲しんだりしていたエルダさんがようやく落ち着いて、広間へ戻って行くと、ラウロ様はぽつりと呟いた。
「…………会いたくないな」
ラウロ様の目には憂鬱そうな色が滲んでいた。
ラウロ様がここまで沈んだ顔を見せることは滅多にないので、動揺してしまう。
私はおそるおそる尋ねた。
「ラウロ様、国王様と王妃様にお会いしたくないのですか……?」
「え? ああ、すまない。口に出すつもりはなかったんだが」
ラウロ様をこちらを振り向いて驚いた顔をした後、口に手をあてた。どうやら無意識に出た言葉だったらしい。
ラウロ様は少し気まずげな顔になって言う。
「お二人に会うのは数年振りなんだ。自分でも親不孝だと思うが、どうにも呪いが解けたことを進んで報告しに行く気になれなくて」
「親不孝なんかではありませんわ。色んな関係がありますもの」
私だって両親との仲は決して良くない。
両親は妹のフェリーチェは散々甘やかして可愛がる反面、私にはいつも厳しかった。
幼い頃は妹との扱いの差を感じるたびに、長女だから厳しく教育されるのは仕方ないと自分に言い聞かせていたけれど、成長するに従い両親からの関心の差を無視できなくなっていった。
単純に妹との扱いの差に悩んでいるだけの私とは違い、病死したことにされ別邸に移されたラウロ様の葛藤はずっと大きいのだろう。
「え、一ヶ月後ですか……? 本当にそう書いてあるのですか?」
ラウロ様の言葉に、エルダさんは目をぱちくりしている。ラウロ様はうなずいて、エルダさんに手紙を見せた。
エルダさんはしばらくぽかんとした顔で手紙を眺めた後、憤慨した様子で言った。
「せっかく実の子の呪いが解けたというのに! 一ヶ月後だなんて、陛下も王妃様も何を考えてらっしゃいますの!? もっと早くに会いたいと言うべきですわ! むしろ、全ての用事を放り出して今すぐ駆けつけるのが道理ではありませんの!?」
エルダさんは手紙の内容に随分憤っている様子だった。
私も手紙の内容を見せてもらったが、ラウロ様の言った通りのことしか書かれていなかった。
呪いが解けたことに対する喜びの言葉もお祝いの言葉もなく、ただ一ヶ月後に王宮に来いと命じてあるだけ。
国王陛下も王妃様もお忙しいのだろうとは思うけれど、それにしても少し冷たいなと思ってしまった。
しかし憤慨するエルダさんとは裏腹に、ラウロ様は感情を動かされた様子もなく苦笑いしている。
「エルダさん、そんなに怒らないでくれ。おそらくこんな返事が来るだろうとは思っていたんだ。むしろ、王宮に来いと言われたのが意外だったくらいだ。お二人とも、もう俺には興味ないと思っていたのに」
「ラウロ様、そんな悲しいことをおっしゃらないでくださいませ。エルダは悲しいですわ」
ラウロ様の言葉に、エルダさんは眉根を下げて悲痛な顔をしている。
ラウロ様はそんなエルダさんを少し困った顔をしながらなだめていた。
やがて怒ったり悲しんだりしていたエルダさんがようやく落ち着いて、広間へ戻って行くと、ラウロ様はぽつりと呟いた。
「…………会いたくないな」
ラウロ様の目には憂鬱そうな色が滲んでいた。
ラウロ様がここまで沈んだ顔を見せることは滅多にないので、動揺してしまう。
私はおそるおそる尋ねた。
「ラウロ様、国王様と王妃様にお会いしたくないのですか……?」
「え? ああ、すまない。口に出すつもりはなかったんだが」
ラウロ様をこちらを振り向いて驚いた顔をした後、口に手をあてた。どうやら無意識に出た言葉だったらしい。
ラウロ様は少し気まずげな顔になって言う。
「お二人に会うのは数年振りなんだ。自分でも親不孝だと思うが、どうにも呪いが解けたことを進んで報告しに行く気になれなくて」
「親不孝なんかではありませんわ。色んな関係がありますもの」
私だって両親との仲は決して良くない。
両親は妹のフェリーチェは散々甘やかして可愛がる反面、私にはいつも厳しかった。
幼い頃は妹との扱いの差を感じるたびに、長女だから厳しく教育されるのは仕方ないと自分に言い聞かせていたけれど、成長するに従い両親からの関心の差を無視できなくなっていった。
単純に妹との扱いの差に悩んでいるだけの私とは違い、病死したことにされ別邸に移されたラウロ様の葛藤はずっと大きいのだろう。