妹ばかり見ている婚約者はもういりません
 ラウロ様の顔をしばらく呆けたように見ていたフェリーチェは、ルドヴィク様の方に視線を向けると、がっかりした顔になって深い溜め息を吐いた。

「おい、フェリーチェ! なんだその反応は!!」

「だってルドヴィク様、今までは悪くないと思ってましたけど、痣のなくなったラウロ・ヴァレーリと比べると大分安物感があるんですもの……。その上、妾を持とうとするだなんて性格もクズですし……」

「はぁ!? 安物!!? お前こそ、ちょっと可愛いくらいしか取り柄がないくせに!! お前が自慢げに使う光魔法、あんなものいくらでも薬で代用できる子供騙しじゃないか!」

「失礼なこと言わないでくださる!? 私の可愛さに対してちょっとだなんて目が腐ってるんじゃありませんの!? そもそも、ルドヴィク様なんて魔法自体使えないじゃないですか!!」

 ルドヴィク様とフェリーチェは、また言い争いを始めてしまった。

 ヒートアップした二人は、もうこちらに見向きもしない。


「あの、ラウロ様。もうそろそろ戻りませんか? パーティーも始まってしまいそうですし」

「ああ、そうだな。しかしあの二人は放っておいて大丈夫だろうか……」

「多分大丈夫ですわ」

 私は二人を横目に見てから、根拠もなく言う。

 それから二人に引き止められないうちに、急いでラウロ様と会場へ戻った。


 会場に入ると、先ほどよりも随分人が集まっていた。

 私はラウロ様に向かって言う。

「ラウロ様、さっきはありがとうございました。ルドヴィク様に言い返してくれて」

「いや。大変だったな、ジュスティーナ嬢」

「ラウロ様が来てくれましたから大丈夫ですわ! ……それと、さっき、どうしても私にパートナーになって欲しかったと言ってくれたこと、嬉しかったです」

 先ほどのラウロ様の言葉を思い出して、両手で頬を押さえながら言うと、ラウロ様の頬がうっすら赤らんだ。


「すまない。さっきはちょっとムキになっていて」

「どうして謝るのですか? 私、とても嬉しかったですわ」

「いや……」

 私がそう言ってみても、ラウロ様は赤い顔のまま気まずそうにしていた。そんな表情を見ていたら、無意識に笑みがこぼれてしまう。
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