母の世界のTKG
 だが、平和は長くは続かなかった。
 勇者は魔王を倒すために大きな負担を背負っていた。
 寿命は本来の半分以下になっていた。
 オリビアが物心つく前に、勇者は立つこともできなくなり、妻に看取られた。

「ねえ、笑って。僕は君の笑顔のために戦ってきたんだ。君が笑ってくれたから、僕は勇者にだってなれたんだよ」

 そう、最期に言い残して。


 妻は唇を噛んで立ち上がった。

「オリビアを育て上げなくちゃ」

 勇者の世話になった者は多い。
 勇者の仲間だった魔導師たちや、魔王城近くの村の人々、かつて魔王に攫われた姫君。
 気丈に振る舞う妻と、その周りの人たちに支えられて、オリビアは健やかに育った。

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