君を守る、その愛が重すぎても こちらはマンガシナリオになります。 「第9回noicomiマンガシナリオ大賞」にエントリーしています。

第15章「桜の下で」

柱:卒業式後・校門前の坂道/午後の光


ト書き:
淡い春風が吹き抜け、桜の花びらが舞う。

校門の前には、別れを惜しむ生徒たちの笑い声。

その中で、瑠衣はひとり坂の上に立っていた。

制服のスカートが風に揺れ、手には折りたたんだ手紙。


瑠衣(心の声)
「この三年間、長かったようで、あっという間だったな……。
颯真、今どこにいるんだろ。」


ト書き:
その名を呟いた瞬間、背後から静かな声がした。


颯真「──ここにいる。」


ト書き:
振り返ると、そこにはネクタイを少しゆるめた颯真。

少し伸びた髪が風に揺れ、柔らかな笑みを浮かべていた。


瑠衣(微笑んで)「……遅いよ。」

颯真「先生に引き止められてた。反省の最後の説教。」

瑠衣「ふふっ、颯真らしいね。」


柱:坂道・桜の木の下


ト書き:
二人は並んで歩き出す。

桜の花びらが、まるで二人を祝福するように舞い降りる。


颯真「なぁ……覚えてる? 昔、この坂で転んだお前、泣きながら俺に怒ったこと。」

瑠衣「“痛いのは私なのに、なんで笑ってるの!”って?」

颯真(頷いて)「あれ、めっちゃ怖かった。」

瑠衣(笑いながら)「でも、あの時も守ってくれた。」


ト書き:
ふと、颯真の表情が真剣になる。


颯真「……なぁ、俺、本気で変わるよ。
強いだけの男じゃなくて、お前の隣で笑っていられる男になる。」

瑠衣(静かに見つめて)「もう、なってるよ。
昔の颯真は、ひとりで全部抱え込んでたけど──
今の颯真は、“一緒に生きる”って言ってくれたでしょ?」


ト書き:
颯真の目に、うっすらと涙がにじむ。


颯真「……お前が、俺の光だった。
この3年間、ずっと。
他の誰でもない、お前じゃなきゃダメだった。」

瑠衣「私も。颯真の“守る”に救われた。
でも、もう守られるだけじゃなくて、
これからは一緒に、歩きたい。」


ト書き:
瑠衣がそっと手を差し出す。

颯真がその手を取り、指を絡める。

桜の花びらが二人の間に舞い落ち、光を受けてきらめいた。


柱:坂の上・最後の告白


颯真(ゆっくりと)
「瑠衣、卒業しても──
お前のこと、ずっと好きでいる。
もう隠さない。誰にも譲らない。」

瑠衣(涙ぐみながら)
「そんな顔で言われたら、泣くに決まってるじゃん。」


ト書き:
瑠衣の頬を一筋の涙が伝う。

颯真はそっとその涙を拭い、
照れくさそうに微笑んだあと──


颯真「……キスしても、いい?」

瑠衣(小さく頷いて)「……うん。」


ト書き:
ふたりの距離がゆっくりと縮まり、
桜の花びらが風に舞い散る中、静かに唇が触れる。

それは、何年も積み重ねた想いの終着であり、
新しい始まりのキスだった。


柱:エピローグ・未来の手紙


ト書き:
画面が淡くフェードアウトし、
瑠衣のナレーションが流れる。

瑠衣(ナレーション)
「──あの日、私たちは桜の下で“約束”をした。
どんな未来になっても、
もう一度、同じ空を見上げられるように。
颯真、ありがとう。
あなたの重い“愛”は、私にとって一番優しい“重さ”だった。」



Fin.



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