君のためにこの詩(うた)を捧げる

第10話「本音の温度」

「好きって、苦しいね。
でも、それでも――君を見ていたい。」


冷たい風が吹く夜。



窓の外には冬の星が滲んでいた。



澪のスマホにはまだ、“未読”のままのメッセージが並んでいる。



――輝からの、「少しだけ、時間がほしい」


胸の奥で、何かがずっと引っかかっていた。


(どうして、“時間”なんて言うの……?)

(どうして、戻ってきたのに、離れていくの……?)


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